韓国の日本製空気圧バルブに対するアンチダンピング課税措置がWTO協定違反

■WTO紛争処理小委員会報告書が公表

 経済産業省によると、WTOは4月12日、我が国の申立てに基づき、WTOで審理されてきた韓国による日本製空気圧伝送用バルブに対するアンチダンピング課税措置ついて、紛争処理小委員会(パネル)報告書を公表した。同報告書は我が国の主張を認め、韓国のアンチダンピング課税措置は、損害・因果関係の認定や手続の透明性に問題があり、アンチダンピング協定に整合しないと判断し、韓国に対し措置の是正を勧告した。今後、当時国は、公表から60日以内にWTO上級委員会に対して上訴することが可能。上訴がない場合には、パネル報告書の内容でWTOとしての判断が確定することとなる。

(グラフデータは推定:業界より)

 我が国は、2016(平成28)年3月15日に、韓国による日本製空気圧伝送用バルブに対するアンチダンピング課税措置ついて、WTO紛争処理小委員会(パネル)設置要請を行い、同年7月4日にパネルが設置された。

 我が国は、韓国による当該措置について、損害・因果関係の認定や手続きの透明性に問題があるとして、「千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定(アンチダンピング協定)」に違反すると主張していた。

 その後、2017(平成29)年3月及び5月にパネル会合(口頭弁論)が開催され、このほど、WTOはパネル報告書を公表した。同報告書は、韓国のアンチダンピング課税措置は、損害・因果関係の認定や手続の透明性に問題があり、アンチダンピング協定に整合しないとし、韓国に対し措置の是正を勧告した。

■パネル報告書の判断内容

 パネル報告書は、以下のように判断し、韓国によるアンチダンピング課税はアンチダンピング協定に違反すると認定し、韓国に対して措置をアンチダンピング協定に適合させるよう勧告した。

1.韓国による本件措置の決定は、ダンピング輸出による韓国国内産業への損害・因果関係の認定に瑕疵があり、アンチダンピング協定第3.1条及び第3.5条に整合しない。

2.本件措置は、手続面でも、秘密情報の取り扱いに不備があり、アンチダンピング協定第6.5条及び第6.5.1条に整合しない。

3.他方、アンチダンピング協定第3.1条、第3.2条、第3.4条の解釈その他に関する日本の主張の一部は認められないか、パネルの付託事項の範囲外であるため、判断しない。

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