川崎重工、商船三井と「舵取機の新たなセンシングとビッグデータ解析による省エネ運航・故障予知技術」を共同開発

 川崎重工業は5月8日、㈱商船三井と「舵取機の新たなセンシングとビッグデータ解析による省エネ運航・故障予知技術」を共同開発することに合意したと発表した。

 このプロジェクトは、船舶の操船で最も重要な機器の一つである舵取機とその制御に着目し、川崎重工が長年培ってきた油圧制御技術と、商船三井の操船や運航に関する高い知見を合わせることで、新たな省エネ運航技術や故障予知技術を開発し、船舶の環境性能および信頼性や操船性の向上を目指すもの。

 舵取機に油圧の圧力や流量、作動油の温度や消費電力などを監視するセンサーを取り付けるとともに、船内に大容量ストレージを備えた高速データ収集装置を搭載することで、舵取機の状態に関するデータを詳細に収集することが可能になる。蓄積された舵取機に関するビッグデータの解析により、各種パラメーターの異常を察知し、故障を予知することで船舶の信頼性向上につなげる。

 また、航海中の機関プラントの状態、船速や針路などの各種データと組み合わせて解析することで、状況に合わせた省エネ運航の実現を目指す。センシング技術を搭載した舵取機と高速データ収集装置は、川崎重工が建造中の商船三井向けVLCC(大型原油タンカー)に実装し、船舶の信頼性や操船性の向上および省エネ運航に貢献する将来的な「インテリジェンス機能搭載型舵取機」の開発に向けた重要なステップと位置付けて検証を行い、2020年度中に開発完了することを目標としている。

 川崎重工は、1916年に舵取機の製造に取り組んで以来、20,000隻以上の様々な種類の船舶に納入している。そこから培った高い技術力と豊富な実績に裏付けられた高い信頼性をもとに、船舶分野における地球環境の保全と改善や船舶運航の安全・信頼性向上に貢献するため、今後もさまざまな技術開発に積極的に取り組んでいく。

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