日立建機、2017年度売上は27.2%増の9,591億円、18年度は微減を予測

   日立建機が4月26日に発表した2018年3月期(4~3月)連結業績によると、売上収益は、前年度に実施した日立住友重機械建機クレーンの持分法適用会社化による影響があるものの、特に中国をはじめとする建設機械の販売増加と、H-E Parts社及びBradken社の連結子会社化による売上収益増加の結果、9,591億5,300万円(前年同期増減率27.2%)となった。調整後営業利益は売上原価率・販売管理費率の低減、部品サービスの増加とソリューションビジネスの貢献により935億8,200万円(同231.1%)、営業利益は957億3,700万円(同305.3%)、親会社株主に帰属する当期利益は600億400万円(同648.0%)となった。

 日立建機2017年度(4月26日発表)データ

■セグメント業績

 建設機械ビジネス:2017年度における油圧ショベル需要は、中近東を除く各地域で前年同期を上回った。日立建機では、顧客の機械を総合的にサポートするサービスソリューション「ConSite(コンサイト)」のグローバル展開や、部品供給体制の拡充等により、部品・サービス事業の強化を図り、収益の拡大に努めた。

 「ConSite」では、建設機械業界初となる、センサによりオイルの状態を遠隔で検知し、エンジンや油圧機器の故障予知を行う、「ConSite OIL」をメニューに加え、10月から欧州・豪州で提供開始した。日本では、国土交通省が推進するi -Constructionへの対応として、茨城県ひたちなか市に開設したICTデモサイトでの講習会や、施工プロセスの効率化につながる解決策の提供等、ICT施工の普及に努めた。

 マイニング機械需要は、マイニング会社の投資増加を受け、前年同期を大きく上回っている。日立建機では、日立グループの力を合わせて高度な車体安定化制御を実現したリジッドダンプトラックAC-3シリーズの拡販に努めるとともに、鉱山機械の運行管理システムの提供や自律運転技術の開発等、鉱山運営の効率化に取り組んでいる。また、より高度なレベルの顧客サポート体制の構築を進め、部品・サービスの売上収益拡大に努めた。

 同部門の2017年度売上収益は8,668億6,600万円(前年同期増減率16.0%)、調整後営業利益は911億5,700万円(同227.8%)となった。

 ソリューションビジネス:同事業は、前年度に連結子会社化した、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken社とサービスソリューションを提供するH-E Parts社で構成されている。

 2017年度の売上収益は、オーストラリアや南米でマイニング機械向けの売上収益が堅調に推移し926億3,800万円、調整後営業利益は24億2,500万円となった。

■2018年度の見通し:油圧ショベルの世界需要は若干増を想定

 2019年3月期(2018年度)の建設機械ビジネスについて、油圧ショベルの需要見通しは、世界全体で2018年3月期需要を若干上回るものと想定している。地域別には、主に中国やインド、北米で増加傾向が続くと見ている。マイニング機械については、マイニング会社の投資増加が見込まれ、特に超大型のダンプトラックや油圧ショベルの需要は増加傾向が続く見通し。ソリューションビジネスも主たる顧客であるマイニング会社の資源生産量の増加に伴う機械・設備の稼働増が見込まれる。

 このような状況を踏まえ、日立建機グループでは、部品サービスを中心としたバリューチェーンの拡大や、マイニング事業の強化を通じて、顧客の課題に対する最適な解決策を提供することで競争力の強化を図るとともに、引き続き、原価低減、たな卸資産の適正水準の維持、経営効率の向上を図っていく。但し、予想為替レートの円高影響により、売上収益は微減、利益面では減益となる見通し。

 2019年3月期連結業績は、売上収益9,500億円(前期比1.0%減)、営業利益840億円(同10.2%減)、税引前当期利益800億円(同16.3%減)、親会社株主に帰属する当期利益490億円(同18.3%減)の見通し。

 業績見通しの為替レートについては、米ドル100円、ユーロ120円、人民元15.5円としている。

 日立建機の2018年3月期決算短信

 日立建機2018年3月期決算説明資料

 日立建機2018年3月期地域別市場環境と見通し

 日立建機の中期経営計画進捗状況