日本貿易保険(NEXI)は3月28日、丸紅、東北電力、ENGIE S.A.,PT. Supreme Energy が出資するPT. Supreme Energy Rantau Dedap(SERD)が、インドネシアで地熱発電所を建設・所有・操業するプロジェクトへの民間金融機関からの融資に対し、保険の引受を決定したと発表した。なお、この案件は、NEXIとして地下の地熱資源量に係るリスク取る地熱発電事業向けプロジェクトファイナンス案件としてはインドネシアMuara Laboh地熱IPPプロジェクト1に続き2件目となる。
同プロジェクトは、SERDが、インドネシア南スマトラ州において、2020年の運転開始を目指し発電容量98.4MWの地熱発電所を建設し、30年間にわたりインドネシア国営電力公社PT PLN(Persero)に対して売電するもの。また、融資期間にわたり、九州電力の子会社である西日本技術開発が技術サービスアドバイザーとして、井戸の掘削戦略の策定、井戸の管理及び補充井掘削の計画等においてプロジェクト会社を側面支援する。
融資は、国際協力銀行(JBIC)、アジア開発銀行(ADB)、みずほ銀行(幹事行)、三井住友銀行及び三菱東京UFJ銀行の協調融資であり、NEXIはこのうち民間金融機関の融資(126百万米ドル)に対し保険を適用する。
日本政府は、2015年11月に「美しい星への行動2.0(Actions for Cool Earth:ACE2.0)」を発表し、気候変動対策に取り組む開発途上国の支援を掲げており、2017年5月改訂の「インフラシステム輸出戦略」の中で、インフラの設計・建設・運営・管理を含むシステムの受注や現地での「事業投資」の拡大の推進を表明している。同プロジェクトに対する融資保険の引受はこうした日本政府の施策にも合致するもの。
インドネシアは、経済成長に伴い急増する電力需要に対応するため、35GWの新規電源を開発する計画を推進している。同国は米国に次ぐ世界第2位の地熱埋蔵量を誇り、更なる開発が期待されている。NEXIが事業資金をファイナンス面より支援することにより、今後の日本企業の同国における地熱開発事業機会の拡大、ひいてはこうした再生可能エネルギー開発を含めた国際競争力の維持・向上につながることが期待される。