東レは3月19日、米国サンディエゴ市に位置する米国最大規模の下水飲料水化施設向けに、中空糸限外ろ過(UF)膜トレフィル(R)を受注したと発表した。今回、サンディエゴ市が設立する設備においてUF膜が処理する水量は、1日あたり約15万m3。2021年の設備稼働開始予定に合わせ、2019年頃からトレフィル(R)の出荷を開始する計画。
現在、米国では深刻な水不足に悩まされており、海水淡水化などの造水技術への期待が高まっている。特に西海岸に位置するカリフォルニア州・フロリダ州・テキサス州などでは、水不足対策としての下水再利用の需要拡大が見込まれる。このような中、人間の排泄物からなる下水が貴重な水資源と着目され、法整備から実用化に向けた実験など、計画的な準備がなされている。
下水を飲料水に再生させるためには、衛生性の確保が最重要であり、オゾン処理・活性炭処理・逆浸透(RO)膜処理・紫外線殺菌など何重にも及ぶ処理が必要。それらの処理の中でUF膜トレフィル(R)は、逆浸透(RO)膜処理の前工程として汚濁物や病原性微生物といった懸濁物質をほぼ完全に除去する重要な役割を担う。
東レはこれまで米国において、H2Oイノベーション社(本社所在地:カナダ)と共同で大型装置によるパイロットテスト検証を進めてきた。この検証で、UF膜トレフィル(R)の運転性・耐久性が高く評価されたことが、今回新設備への採用の決め手となった。今後も、UF膜トレフィル(R)を使った大型案件受注を進めるとともに、すでに世界でトップクラスのシェアを持つ逆浸透(RO)膜ロメンブラ(R)や下水・廃水用途のMBR(膜分離活性汚泥法)用途でも着実に受注を重ねていく。
「グリーンイノベーション事業拡大(GR)プロジェクト」において、地球環境問題や資源、エネルギー問題解決への貢献に積極的に取り組んでいる東レは、MBR、UF、MF、RO膜を取り揃えるグローバルプレーヤーとして、生命に直結する水資源問題の解決一助となるべく、地球規模での水問題解決に貢献していく。
<最近の水量規模10万m3/日納入案件>
仕向国/水量規模(m3/日)/稼働(予定含む)/用途
韓国/134,000/2019/上水道
カタール/157,500/2017/下水水産業再利用
タイ/110,000/2017/上水道