三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は3月14日、13日に勿来(なこそ)IGCCパワー合同会社から受注した石炭ガス化複合発電(IGCC:Integrated coal Gasification Combined Cycle)設備の中核となる石炭ガス化炉の本格工事着手にあたり、立柱安全祈願を勿来IGCCパワー合同会社と共同で開催したと発表した。同設備の出力は54万kWで、2020年9月の運転開始を予定している。
式典には、施工を担当するMHPSから、社長付執行役員の馬渕 洋三郎氏、執行役員エンジニアリング本部副本部長の十川 純氏らが出席、石炭ガス化炉建設現場で両社代表者による立柱の儀を執り行った。
勿来IGCCパワー合同会社向けの石炭ガス化炉は、MHPSが長崎工場(長崎市)で2017年に完成させた石炭ガス化炉工場における初号製品として製造中で、今年6月からの順次出荷を計画している。この工場は、MHPSが従来の石炭焚き火力発電向けボイラー製造により培った溶接などの要素技術に加え、新たに独自開発した自動溶接装置、ITを駆使した生産方式を導入することで、高温高圧に対する耐久性に優れた石炭ガス化炉の構成モジュールを安定的かつ短納期で製造できるもの。
IGCCは、石炭を高温高圧のガス化炉でガス化し、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた高効率のコンバインド方式で発電することで、従来の石炭焚き火力発電に比べ、発電効率を飛躍的に向上させ、CO2排出低減にも寄与する画期的な火力発電システム。資源の乏しいわが国をはじめ、世界各地における資源の有効利用と環境保全の両面で、ニーズが高まってくるものと期待される。勿来IGCCパワー合同会社によるIGCC設備建設は、世界最新鋭の石炭火力発電所の実現を通じて産業基盤の創出と福島県の復興への貢献といった関係者の思いを込め進められているもの。