中国の油圧メーカー、恒立液圧が5億元(約85億円)投じて第二期油圧鋳物プロジェクト、年産3万トン体制へ

 中国の油圧機器メーカー、江蘇恒立液圧有限公司(ブランド:Hengli、本社:江蘇省常州市武進高新区)は3月1日、自己資金5 億元(約85億円)を投じて第二期鋳物プロジェクトの建設投資を計画していると上海証券取引所で発表(会社公告は2月28日付け)した。同プロジェクトの建設完了後には年産3万トン(売上見込み:約4億4,293万元=75憶円)の油圧用鋳物の生産能力を形成する見込み。(1元は約17円)

 内訳は、工業用バルブ鋳物375 トン、ガイドブッシュ(中文表記:導向套)鋳物1,068 トン、マルチプル高圧バルブブロック鋳物18,000万トン、ポンプモータ用シエル鋳物10,557トン。工場敷地面積は59,777㎡、建築面積は3,357㎡。

 同プロジェクは武進国家高新技術産業開発区に建設を予定しており、新しく増設する設備は76 セットで、主にIF/MFI 溶解炉(同:中頻無芯感応熔化電炉)、静圧鋳造生産ライン、電磁ブリッジクレーン、水平合せ型の鋳枠なし造型ライン(同:水平分型無箱造型線)、振動コンベアー、トロリー電気抵抗炉(同:台車式電阻炉)等が含まれる。プロジェクトの建設周期は1 年である。

 高圧油圧部品の製造におけるボトルネックは高精度油圧鋳造であり、建設機械業界の中核油圧部品を解決するためには、高精度油圧鋳造の技術とプロセスの突破口が重要。恒立液圧では2011年に開始した高精度油圧鋳造の第一段階プロジェクトは完成し、2013年に生産を開始している。第一段階のプロジェクトでは、世界で先進的な湿式砂鋳造技術と静圧成形ラインを採用しており、現時点では高圧マルチバルブボディ、ポンプ、モーターハウジング用などに2万5000トンの油圧鋳造製品を生産している。

 今回の投資は、同社の高精密油圧用鋳物の生産能力をさらに拡大し、同社の油圧ポンプ、バルブの鋳物に対する需要を満たし、同社の油圧ポンプ、バルブ製品の市場シエアを向上させ、持続的収益性を高めるのに有利となると見られている。

 江蘇恒立液圧は、中国国内では建設機械用の油圧シリンダで実績を持つ。2017年度上期(1~6月)は、三一、徐工、キャタピラー、柳工など建設機械業界向けシリンダやシールド掘進機の燃料タンク、国内の都市鉄道建設の関連など大口ユーザー向けも増加した。現状の需要水準からすれば、近く発表される2017年通期は20億元突破が予想されている。

 ちなみに恒立液圧の主力である建設機械用シリンダでは、KYB(日本)、DYPOWER(韓国)、WIPRO(インド)などの油圧メーカーに加え、コマツ徐工液圧件など内製メーカーに分かれる。世界的な建機需要を背景に、油圧機器全般の需要も拡大しており、独HAWEと合弁会社を設立するなど、ポンプ、バルブに本格参入している江蘇恒立液圧にとって鋳物の内製強化は油圧総合メーカーへのステップとなりそうだ。