川崎重工業は2月23日、タイのバンコク地下鉄オレンジライン建設工事に投入されるシールド掘進機3機を、同国のシーケーエスティー共同企業体(CKST Joint Venture)より受注したと発表した。川崎重工は、シールド掘進機の設計・製作・海上輸送などを担当し、2019年2月から2019年8月にかけて順次納入する予定。
今回受注した掘進機は、バンコク中心部の交通渋滞緩和のために新設される地下鉄オレンジライン(全長約39.5km)の第1期工事イーストセクションに投入され、E01工区(約4.2km)とE02工区(約2km)の各上下線、合計12.3kmを掘削する。これらのトンネル掘削工事は、2021年の完了を予定している。
受注した掘進機は、バンコクの軟弱な地盤に有効な泥土圧式(直径6.58m)。軟弱土層の掘進に用いられるシールド掘進機の技術を基に、地下水圧を保持した状態で掘削土を排出できるスクリュウコンベヤの採用、地中のコンクリート残置杭を切削するためのカッターヘッド回転動力の増強、カッターヘッド後方から交換可能な特殊なカッターの装備など、工区特性に適した仕様としている。
川崎重工は、バンコク地下鉄のブルーラインおよび延伸線向けなど、今回の受注を含めて、タイ向けに19機(うちバンコク地下鉄建設工事に10機)、日本国内外で約1,400機のシールド掘進機およびTBM(Tunnel Boring Machine)の受注実績を有している。今回の受注は、川崎重工の高い技術力と難易度の高い条件での豊富なトンネル掘削の実績が高く評価された。
バンコクでは、地下鉄オレンジライン第2期やパープルライン延伸線(約23.6km)など地下工事の増加が予想され、今後もシールド掘進機の発注が見込まれる。また、シンガポール、インド、ベトナム、中近東などでも地下鉄建設工事が計画されており、アジア市場全体で中長期的に安定した掘進機需要が見込まれている。
川崎重工は、今後も国内外を問わずシールド掘進機・TBMの営業展開を積極的に推進していく。
■シーケーエスティー共同企業体:タイのチョウカンチャン社(Ch.Karnchang Public Company Limited)およびシノタイ社(Sino-Thai Engineering&Construction)で構成される共同企業体。鉄道、空港、高速道路などの各種建設工事を手掛ける。