川崎重工、中国・セメント製造工場で新型ボイラ「VEGAボイラ」が運転開始

 川崎重工業は2月22日、中国合弁企業である安徽海螺川崎工程有限公司と共同開発したセメント排熱発電設備向け新型ボイラ「VEGA™(ベガ)ボイラ」(※1)初号機の運転を、淮北衆北水泥有限公司(Huaibei Zhongbei Cement Co.,Ltd.、中国・安徽省)のセメント製造工場で開始したと発表した。

 「VEGAボイラ」は、除塵効果の高いハンマリング装置を新たに開発し、従来型とは異なる伝熱管構造を採用することで本体重量および設置面積の大幅なコンパクト化を可能にした先進的ボイラ。伝熱管のモジュールブロック化により据付工事期間の短縮を実現したほか、ボイラ本体のガス圧力損失が従来型に比べ小さいことからファン動力が低減される。また「VEGAボイラ」は、これらの特長を活かし、ボイラを多段圧化することにより排熱発電設備の発電出力増加が可能になる。

 セメント排熱発電設備は、セメント製造工場から大気へ排出されていた排気ガスから未利用熱を回収し、蒸気タービンで発電するもの。「VEGAボイラ」は、プレヒーター(PH)(※2)とクリンカクーラー(AQC)(※3)の2箇所の熱源のうち、ダストが大量に含まれるPH排気ガスから熱回収する。

 「VEGAボイラ」の運転を開始した淮北衆北水泥有限公司は、川崎重工の中国合弁相手企業であるCONCHセメントが出資しているもので、工場でのセメント生産容量は4,500t/日、排熱発電設備の出力は7,800kW。この排熱発電設備の設置により、燃料を追加することなくセメント工場内の必要電力の約30%を賄うことができる。

 川崎重工は、1980年に初めてセメント排熱発電設備を納入して以来、世界のリーディングカンパニーとして国内の13プラントをはじめ、中国、韓国、ベトナム、インド、ドイツなどの海外を含めた納入実績は、約250プラントにものぼり、発電出力合計は約270万kW、CO2削減量は年間約1,600万トンに達する。

 今後も豊富な実績と高い技術力を活かし、排熱発電設備が設置されていない日本の中小型セメントプラントへの販売や、更新需要への対応、海外のセメントプラントへの拡販を積極的に展開し、地球環境に貢献していく。

 ※1 VEGAボイラ(Vertical Exhaust Gas Advanced ボイラ):

  排気ガスの流れを縦方向にした先進的なボイラで、開発を完了した日が七夕であったことにちなみ、七夕のおりひめ星を意味するVEGA(ベガ)と命名。商標登録出願済。

 ※2 プレヒーター(PH=Pre Heater):

  焼成キルンの高温の排気ガスを利用して原料の温度をあらかじめ上げることにより、焼成キルンで原料を焼成しやすくするための設備。

 ※3 クリンカクーラー(AQC=Air Quenching Cooler):

  ロータリーキルンより排出されたクリンカを空気で急冷する設備。

<安徽海螺川崎工程有限公司の概要>

英文社名:ANHUI CONCH KAWASAKI ENGINEERING CO.,LTD.

本店所在地:中国安徽省蕪湖市

代表者:何 承発

設立年月日:2006年12月13日

資本金:1億人民元(川崎重工49%、蕪湖海創実業有限責任公司51%)

事業内容:排熱発電設備、セメント製造設備、その他省エネルギー・環境対策設備の設計・土建・据付、および構成機器の設計・開発・調達・販売・技術サービス

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