川崎重工業は2月13日、中国交通進出口総公司(China Communications Import &Export Corporation)から、新開発の舶用推進用旋回式スラスタ「E型レックスペラ」4基を初受注したと発表した。天津港(中国)で船舶の入出港補助を行う天津臨港拖有限公司(Tianjin Lingang Tug Co., Ltd.)向けに納入し、2019年上期竣工予定のタグボートに搭載される。
「レックスペラ」は、水平方向360度の任意の方向に推進力を得られる全旋回式推進機で、推進機・舵の機能を備えており、その優れた操船性から主にタグボートやサプライボート、ドリルシップ、ケーブル敷設船に採用されている。
今回受注した新開発の「E型レックスペラ」は、推進性能の向上による省エネ化(Energy saving)、船内におけるメンテナンス性の容易化(Easy maintenance)、環境に優しい(Environmentally friendly)という特長を有している。
川崎重工は、1983年に旋回式スラスタ「レックスペラ」の生産を開始し、これまでに約1,000基の納入実績がある。今後も、推進性能、省エネルギー性能、環境性能に優れた各種舶用推進装置の提供を通じて世界の海運・海洋事業に貢献していく。
<レックスペラの特長>
(1)Energy saving:最新の流体解析技術を駆使し、下部ギヤケース形状の最適化およびコンパクトかつ高性能なプロペラダクト(コルトノズル)を実現することで、従来のレックスペラと比較して最大7%の省エネルギー化を達成している。
(2)Easy maintenance:一体型油圧クラッチの構造の抜本的な見直しにより、船内でのクラッチメンテナンスの作業性を向上させた。また、補機類を上部ギヤボックス周辺にコンパクトにまとめることで、船内メンテナンススペースの拡充および造船所の船体設計の柔軟性と据付の容易化を可能にした。
(3)Environmentally friendly:高品質なFKM(フッ素ゴム)をプロペラ軸シールに採用することで高い信頼性を確保し、油漏れによる海洋汚染のリスクを低減させている。また、レックスペラの旋回およびクラッチ制御用の油圧ポンプを、従来のギア駆動方式からベルト駆動方式へ変更することで実現した低騒音化を実現し、船内作業環境を改善している。
<レックスペラの概要>
製品名:E型レックスペラ/型式:KST-180ZF/E型/駆動動力:1,471kW/プロペラ径:2.2m