三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は1月25日、イラク電力省(MOE:Ministry of Electricity)からハルサ(Hartha)火力発電所1号機の改修工事を受注したと発表した。運転開始後30年以上が経過して老朽化したガス・油焚きボイラーや蒸気タービンからなる発電設備の出力を主要機器更新などにより定格の20万kWに復元するもので、工事完了は2020年度の予定。MHPSが同発電所のリハビリ工事を受注するのは、2015年3月に受注し2017年12月に工事を完了した4号機向け改修工事に次いで今回が2件目となる。
ハルサ発電所は、イラク南部のバスラ(Basra)県に位置しており、同県全体における発電設備容量の約25%を占めている。MHPSが発電設備を納入し、1982年に完成したもの。しかし、現在までに3度の戦争を通じた設備の破損や経年劣化により、現在は出力を定格の6割程度に落として運転する状態を余儀なくされている。改修工事の資金は、4号機向けと同じく独立行政法人国際協力機構(JICA)の円借款によって賄われ、日本によるイラク復興支援の一翼を担うこととなる。
工事は、MHPSをリーダーとするコンソーシアムが請け負う。MHPSは中核機器であるボイラー、蒸気タービンなどの主要機器・部品を交換して設備の信頼性を向上。発電機関連については三菱電機が担当する。また、トルコのエンジニアリング企業であるGAMA Power社(GAMA Power System Engineering&Construction Inc.)が現地での輸送、据付工事などを手掛ける。
MHPSは、MOE向けではハルサ発電所のほかに、タジ(Taji)、アル・ムサイブ(Al-Musaib)、モスル(Mosul)などの火力発電所についても改修工事の実績を多数有しており、イラクの社会発展と経済活性化に不可欠な電力の安定供給に大きく寄与している。
MHPSは、新設火力発電システムの普及だけでなく、今回のような既存発電設備の改修・性能向上にも力を注いでいる。今後も世界各地で電力供給の安定化や発電の効率化を支援することにより、グローバル規模での経済発展および持続可能性の高いエネルギー創出に貢献していく。