プライメタルズテクノロジーズ、中国の山東鋼鉄日照向け焼鈍シミュレーター「マルチパス」を受注

 プライメタルズテクノロジーズPrimetals Technologies、以下PT社))は1月23日、中国の山東鋼鉄集団日照有限公司(Shandong Iron&Steel GroupRizhao Co.Ltd.,:山東鋼鉄日照)より、焼鈍シミュレーター「マルチパス(Multipas)」を受注したと発表した。このシステムは、日照市南部に建設中の新設製鉄所のリサーチセンターに設置される予定で、熱処理設備における製品開発およびプロセス最適化に使用される。

 この焼鈍シミュレーターの多方面にわたる使いやすさがPT社に発注された主な理由の一つで、同システムの使用によって、熱処理設備の立ち上げ期間が短縮され、最適化が容易になる。このシステムは今回で10 基目の受注で、運転開始は2018 年9 月の予定。

 山鋼日照は山東鋼鉄集団の子会社で、日照市南部の黄海沿岸部に建設中の一貫製鉄所である山鋼日照高級製品拠点の中核として2009 年に設立され、素材の最終加工を担う。この敷地内には製品開発およびプロセス最適化を目的とするリサーチセンターが建設中であり、圧延シミュレーターおよび焼鈍シミュレーターも同リサーチセンター内に設置される予定。

 「マルチパス」では、最大500 ミリ × 300 ミリ、板厚3 ミリまでの冷延鋼板の試験材を、誘導加熱(最大電流8,000 アンペア)により1,200°C まで加熱でき、試験材のサイズに応じて加熱速度毎秒最大100°C まで可能。その後、試験材は全く異なるさまざまな方法で冷却することが可能。

 主な冷却方法として、ガス噴射冷却と水焼入れの2つの方式があり、ガス噴射方式では冷却速度毎秒最大100°C、水焼入れ方式では冷却速度毎秒最大1,000°C で試験材を水冷することにより微細構造を「凍結」させることができ、試験材はその後試験室で検査される。このマルチパスは、水スプレーノズル、ミストジェットノズル、ファン冷却設備も装備し、幅広い加熱速度と冷却速度を実現することにより、大規模なプラントでの熱処理や将来の熱処理に関するすべてのシミュレーションを、小型試験で再現可能にしている。

 この焼鈍シミュレーター「マルチパス」は、オーストリアのリンツにあるPT社のメカトロニクス研究所で組み立てられ、顧客の立ち合いのもと、すべての機能試験および事前検収試験も行われる。出荷予定は2018 年6 月末で、PT社がシミュレーターの据付けおよび試運転を担当する。同システムは今回が10 基目の受注となり、これまでにオーストリア、ドイツ、韓国、中国の顧客に納入されている。

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