愛知製鋼、約18億円投じて「リングギヤ用熱間ローリングミルライン」建設

■次世代車を含む需要拡大を見据えた国内トップレベルの高速生産ライン構築

 愛知製鋼は1月15日、鍛造・鋼材分野の生産プロセス改革における鍛鋼一貫モノづくりの競争力強化と、愛知製鋼の主力鍛造品であるディファレンシャルリングギヤ(※1、画像)のタイムリーな供給対応を目的に、新たな熱間ローリングミル(※2)ラインの建設に着手することを決定、同日起工式を執り行ったと発表した。

 新たなラインの特徴は、これまでの愛知製鋼の特徴である高歩留り(※3)高速生産性を維持しつつ、将来のグローバル展開を見据えた新開発の縦型ローリングミルを採用したことで、電動サーボによる数値制御で作業者のスキルに依存しない生産を可能としていること。さらに、金型を縦型に配置することで、部品点数を低減し設備のコンパクト化を図るとともに、成形工程で発生する酸化スケールの巻き込みを防止することで、高品質を実現。また、段替時間の短縮による小ロット化を実現するとともに、熱処理工程を一貫化することでリードタイムの短縮を図り、省エネルギー化やCO2排出量削減にも貢献する。

 今回の熱間ローリングミルライン導入を皮切りに、HV、PHV、EV、FCVなどを含め、グローバルでますます需要拡大が予想されるディファレンシャルリングギヤの生産性および競争力をいっそう強化することで、顧客への安定供給を確実なものにし、次世代自動車を見据えたモノづくりに貢献していく。

<新ライン概要>

建設内容:ディファレンシャルリングギヤの鍛造から熱処理工程まで一貫した高速自動鍛造ライン

設置場所:愛知製鋼 鍛造工場内(東海市新宝町)

設備構成:高周波加熱炉、トランスファー搬送式自動プレス、ローリングミル、FIA炉、搬送装置(産業用ロボット)

生産品目:ディファレンシャルリングギヤ

生産能力:約18万個/月

稼動開始:2019年3月 (予定)

投資額:18億円

(※1) ディファレンシャルリングギヤ :車が曲がるときの内側と外側の車輪の速度差を吸収する差動機構に使用されるリング状のギヤ。

(※2) ローリングミル :ドーナツ状に成形した製品を圧延し外径を広げる工法で、愛知製鋼が得意とする工法の1つ。

(※3) 歩留り :製品をつくるために必要な材料の重量と製品の重量の比。

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