JFEエンジニアリング株式会社 代表取締役社長
2018年の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。
昨年7月に、理事長を拝命してから半年がたちました。その間、社会情勢、経済、技術はめまぐるしく変化しておりますが、2018年も、世界経済は着実に成長していくのではないかと感じております。それはIMFのレポートでもユーロ圏、日本、アジアなどでの国における経済好転により、成長率は、2017年は3.6%、2018年は3.7%へ上昇するとされています。最近では、新興国の景気回復、堅調な米国経済などによりスロートレード状態も解消に向かっているという報道もでており、貿易が活性化し好循環の流れも生まれてきているのではないかと期待しています。
国内に目を向けても、企業業績は底堅く、全産業の設備投資が大幅に増加傾向にあるなど、マクロ面では良好な環境が整っていると感じています。
さて個別には、環境問題への対応などを背景として、自動車産業の勢力図を塗り替える可能性がある各国のEV導入施策の発表があいつぐなど、これまでのビジネスモデルや市場環境を一変させるような、様々な出来事、変化が起きています。技術面でも、量子コンピュータや全固体式電池、報道を目にしない日はないほどのAI関連技術など、進歩のスピードは速く、もはや変化というよりは革命と言った方がよいような気がします。 こうした革命にしっかり対応していけるかという点が、今後の企業の成長を左右していくのではないでしょうか。
昨年10月には、様々な繋がりによって新たな付加価値の創出や社会課題の解決をもたらすための施策として、世耕経済産業大臣より「Connected Industries」東京イニシアティブ2017が発表されました。どんなに情報通信技術が進歩し、AIがその領域を拡大しようとも、そこに人々がいて、生活し、移動するという現実には変わりありません。
そのためのインフラを構築し、その活動を支えるエネルギーを産み出すという実態あるモノに、AIやIoTなどの様々な最先端の技術・サービスを融合・コネクトさせ、新たな付加価値を創造していく、まさに我々エンジニアリング産業の特徴を発揮できる領域であり、大きなチャンスだと私は考えています。
このような中で、私は理事長就任にあたり、注力したい取り組みを2つかかげました。 1つは「産官学を結ぶプラットフォームとしての活動の拡充」、2つ目が「エンジニアリング産業の認知度向上」です。
1つの会社でできることは限られています。会員企業の皆様と、経済産業省をはじめとする官公庁の皆様や海外大使館、大学などとの情報交流や意見交換を通じて産官学の連携を深めていくためのプラットフォームとしてこの協会をご活用いただきたいと考えております。
取り組みの一つとして、エンジニアリングシンポジウムや大阪・福岡でのエンジョイセミナーとともに、昨年も70回を超える講演会を開催してきました。エネルギー問題や諸外国の経済社会動向、ICTなどの技術動向や企業における女性活躍のあり方など、時々の時勢を捕らえたテーマとなるよう工夫するとともに、中央官庁の局長クラスや企業の最高幹部の方など見識豊かな方々にご講演をいただきました。
また、産官学連携の様々な研究会活動のほか、現地見学会を20回実施いたしました。個社では難しい場所でも協会という名前で訪問できますし、参加者の間で親睦が深まるといった効果もあったと伺っております。
海外でビジネスを展開している中、テロや疾病など様々なリスクも増加してきています。
当協会では、外務省や警察庁、公安調査庁などの関係省庁とも連携し、安全対策に焦点をあてた「安全対策講座」を実施するほか、海外での危機対応の仕方を実地に即して訓練する「危機管理訓練講座」なども実施しています。
2018年も、会員企業の皆様の円滑な事業活動を支えるプラットフォームとしての役割を担えるようこうした活動に引き続き取り組んでいきたいと考えております。
もう1つの注力テーマである、エンジニアリング産業の認知度向上については、エンジニアリング産業で働く人々やエンジニアリング産業が創る街の魅力に焦点を当てた動画を2本追加で製作しYouTubeやFacebookで公開しています。2018年には新たな動画の製作も検討しています。
また、就職活動中の学生を対象とした「業界セミナー」や学年を問わず広くエンジニアリング産業の魅力を知ってもらうための「キャリア支援セミナー」などを国内主要都市で開催し、いずれの会場でも昨年の実績を上回る学生に参加いただきました。 こうした活動を充実させていくことで、エンジニアリング産業の認知度向上につながり、次世代を担う多くの学生がこの世界に飛び込むきっかけとなればと考えております。
さて、今年は、当協会は設立40周年を迎えます。協会としても様々な企画を実施したいと考えております。詳細についてはおって発表させていただきますので、是非ご期待いただければと思います。また、経済産業省の皆様にご配慮をいただき、大臣表彰・局長表彰も受けられることとなりました。多くの方からご応募いただければ幸いです。
当協会は、設立からこれまで、当産業の発展のために尽力された先人たちの財産を引継ぎつつ、時代の変化に対応した役割を創造していくことで、エンジニアリング産業の発展の一助となれればと思っておりますので、皆様方におかれましては、ますますのご支援・ご指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
以上
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