住友重機械、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の治療計画システムでRaySearch社と契約

 住友重機械工業は12月28日、同社とRaySearch Laboratories AB/スウェーデン(以下、RaySearch社)は、住友重機械が開発するBNCT用治療計画システム“SACRA planning ®”において協業して行くことで合意したと発表した。

 住友重機械は、陽子線治療システムでRayStationを既に使用しているが、現在開発中のBNCTにおいても両社の関係が広がることとなった。RaySearch社との協業により、ユーザに対して最適なBNCT治療計画システムを提供することができると考えている。SACRA planningは、住友重機械が世界に先駆けて治験を実施している加速器BNCT装置とともに、商品化を計画している。

<BNCTとは>

 BNCT(※)と呼ばれるがん治療法は、がん細胞に取り込ませたホウ素(Boron-10)に熱中性子をあてることにより生じる核反応によって、ホウ素を取り込んだがん細胞を選択的に、破壊する放射線治療法。

 原理上、正常細胞は傷つけず、がん細胞だけ死滅させることが可能なため、他の放射線治療とは異なるユニークな治療法です。従来のBNCTは中性子源として実験用原子炉を使っていたため、病院内への設備導入は困難でしたが、住友重機械工業と京都大学原子炉実験所は加速器(サイクロトロン)を用いた中性子照射システムを共同開発することで、病院への設置を可能にした。このため、今後BNCT普及の第一歩となることが大いに期待されている。

※BNCT =Boron Neutron Capture Therapyの略:ホウ素中性子捕捉療法

<RayStationおよびRaySearch社について>

 RayStationは、スウェーデンに本拠地を置くRaySearch社が製造販売する治療計画ソフトウェア。世界各国で使用され、その機能や性能において、ユーザから高い評価を得ている。柔軟なプラットフォーム環境に、最適化ツールを含む様々な先進的ツールや、各種放射線治療手法・機種を統合しているのが特徴。X線(DRT, IMRT, VMAT)、陽子線、重粒子線をサポートしており、住友重機械の陽子線治療システムもサポートしている。RaySearch社は、2000年にカロリンスカ研究所(ストックホルム/スウェーデン)からのスピンオフで設立された会社で、先進ソフトウェアの技術開発をベースに、がん放射線治療分野にRayStationを含む様々なソフトウェア製品を供給している。RayStationのソフトウェア製品は、65カ国以上の2,600以上の施設で使用されている。

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