旭化成メディカルは12月21日、ウイルス除去フィルター「プラノバ」の紡糸工場を宮崎県延岡市に新設、中空糸生産能力を年産40,000㎡増強すると発表した。今回の増強により、2016年に竣工した「プラノバ BioEX」の紡糸工場と合わせた旭化成メディカルのウイルス除去フィルター向け中空糸の年産能力は130,000㎡となる。
旭化成メディカルでは、バイオ医薬品(※1)や血漿分画製剤(※2)といった生物学的製剤の製造工程に使用されている、セルロース製中空糸型ウイルス除去フィルター「プラノバ」およびより高いタンパク質濃度領域においても高効率なろ過性能を持つ親水化ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製中空糸型ウイルス除去フィルター「プラノバ BioEX」を製造・販売しており、医薬品の安全性に貢献する製品として世界的な信頼を得ている。
近年、世界において生物学的製剤のウイルス安全性に対する要求が高まっていることに加え、モノクローナル抗体(※3)を中心としたバイオ医薬品の開発が盛んになってきたことから年々ウイルス除去フィルターの需要が増加しており、今後もこの動きは世界的に続くことが予想されている。このような背景から、さらなる安定供給を目指すために、新紡糸工場の建設を決定した。
<工場新設計画の概要>
立地:宮崎県延岡市旭町6丁目 現プラノバ紡糸・組立工場隣接地
増設能力:40,000㎡/年
工期:2018年4月着工、2019年5月竣工予定
<用語解説>
※1 バイオ医薬品:遺伝子工学、細胞培養などのバイオテクノロジーを利用して生産されるペプチドやタンパク質を有効成分とする医薬品。インターフェロン、成長ホルモン、エリスロポエチン、モノクローナル抗体などがある。
※2 血漿分画製剤:血漿から精製して得られる治療に有益なタンパク製剤で、感染症の治療に用いるグロブリン、血友病などの治療に用いる血液凝固第VIII因子などの血液凝固因子製剤などがある。
※ 3モノクローナル抗体:単一の抗体産生細胞から作られる一種類の均一な分子でできた抗体で、医薬品としては通常、遺伝子組替え技術で作られる。近年、リウマチ、癌などに対する抗体医薬の開発が盛んである。