三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、ポーランドの発電会社であるエネア・ヴィトバルザニエ社(ENEA Wytwarzanie S.A.)が首都ワルシャワの南南東約70kmで建設を進めるコジェニッチェ(Kozienice)火力発電所の11号機向けに瀝青炭焚き超々臨界圧火力発電設備を納入し、19日、営業運転が開始されたと発表した。出力は同国最大規模となる107万5,000kWで、低品位炭にも対応したMHPS独自技術に基づく高い発電効率によりCO2排出量も抑制できる。
この発電設備は、2012年にコンソーシアムパートナーであるポリメックス・モストスタール社(Polimex-Mostostal S.A.)と共同で受注したもの。このうちMHPSは、超々臨界圧ボイラー、蒸気タービン、発電機ならびに環境装置を製作・供給している。
同日、現地の発電所では、運転開始を記念して式典が開催された。その席上、MHPS副社長の藤谷康男氏は「ポーランドはMHPSにとって非常に重要な市場です。コジェニッチェ発電所11号機建設プロジェクトでは、エネア社のもとでポーランドの現地パートナーと素晴らしい協力関係を築くことができ、当初計画通りに工事を進めることができました」と述べている。
ポーランドは世界有数の石炭資源国で、総発電量の約8割を石炭火力で賄っている。同国では2015年に発足した現政権が、エネルギー安全保障強化の観点から国内炭鉱業の再編・活性化を目指してMoE(Ministry of Energy)を新設。政府主導で、炭鉱の再編・合理化に取り組む一方、石炭埋蔵量の大部分を占める瀝青炭に加え低品位炭である褐炭を有効活用できる高効率石炭火力発電システムの導入や、環境負荷低減に役立つAQCS(Air Quality Control Systems:大気環境対策システム)の普及に力を注いでいる。
MHPSは、石炭火力発電分野で、低品位炭でも高い発電効率を発揮する独自開発・蓄積技術によってCO2排出量も抑制する豊富な実績を有している。今後も、高効率の石炭火力発電設備の需要増加が期待される広範な国・地域で排煙脱硫・脱硝装置などの先進的AQCSを含めて積極的な営業を展開し、電力の安定供給と環境負荷の低減に貢献していく。
石炭は品位順に、無煙炭、半無煙炭、瀝青炭(以上が高品位炭)、亜瀝青炭、褐炭、亜炭、泥炭に分類される。
画像:コジェニッチェ石炭火力発電所11号機に納入した蒸気タービンおよび発電機
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