岩谷産業の100%子会社である岩谷瓦斯(本社:大阪市)は12月20日、茨城県と中国にヘリウムセンターを建設すると発表した。茨城県稲敷郡では2019 年 4 月、中国陕西省西安市は2019年2月の完成を目指す。
同社は現在、大阪ヘリウムセンター(大阪府)、つくばガスセンター(茨城県)、横須賀ガスセンター(神奈川県)の国内 3 拠点にヘリウムセンターを有しているが、今回、つくばガスセンター、横須賀ガスセンターの東日本 2 拠点の機能を統合し、最新の設備を備えた新ヘリウムセンターを建設する。(岩谷瓦斯の工場所在地)
新ヘリウムセンターは、製造能力を既存2拠点合計の 1.3 倍に増強するとともに、高効率のヘリウム回収設備を導入することで、充填時に発生するロスを従来の 8 分の1に低減することが可能となる。また、超高純度ヘリウムの充填設備を導入するとともに、現在の 20MPa 充填から将来的には 30MPa の高圧充填を行うことで、一層の配送効率化を図る。
また、岩谷産業グループでは、中国でのヘリウムガス、液化ヘリウムの需要増加を受け、2019 年 2 月の完成を目指し、西部地区の陕西省西安市に中国で浙江省嘉興市に次ぐ 2 拠点目となるヘリウムセンターを建設する。同地域では光ファイバーや病院での MRI 向けの需要増加が見込まれており、今後、中国での更なる販売量の増加、およびシェア拡大に繋げていく。
日本、中国の新ヘリウムセンターともに、約 1万 ㎡の未利用敷地を有しており、ヘリウムを大量に消費するユーザーの誘致を検討している。ユーザーの製造工程の一部をヘリウムセンター内に設置することにより、製造工程で消費したヘリウムを回収、再利用するなど、相互にメリットを共有していきたいとしている。
ヘリウムは、医療や半導体・光ファイバーなど先端産業で欠かせないガスだが、世界 6 カ国の天然ガス田のみで産出される「戦略資源」とも称される希少なガス。岩谷産業は、米国産ヘリウムに加え、アジア企業で唯一カタール産ヘリウムの直接輸入権益を有する企業。引き続き、その調達力を活かし、日本をはじめとして、中国・東南アジアで安定供給体制の強化を図っていく。
<茨城県の新ヘリウムセンターの概要>
阿見東部工業団地内
完成予定:2019 年 4 月
<中国 陕西省西安市の新ヘリウムセンターの概要>
所在地:陕西省西安市経済技術開発区
完成予定:2019 年 2 月