住友重機械とNEC、AI用いた実証実験、産業機械の予兆検出に成功

■RAPID機械学習を使用して射出成形機の故障予兆を検出

 住友重機械工業日本電気(NEC)は12月13日、産業機械の故障予兆の検出にAIを用いる実証実験を行い、プラスチック射出成形機から出力されたデータを利用した故障予兆の検出に成功したと発表した。今後両社は、実証実験の結果をもとに、産業機械におけるAIを活用した故障予兆の検出および生産された製品の良品判定、運転条件や設定の自動調整の実現に向けた連携を進める。

 電動射出成形機では、駆動機構に搭載されたボールねじのメンテナンスを計画的に実施したいという要求があり、故障予兆の検出が期待されていた。今回の実証実験では、その電動射出成形機の故障についてAIで予兆を検出できるかの検証を行った。

 射出成形機に標準的に搭載されているセンサ群の時系列データを利用して、ボールねじが正常な場合と損傷を受けた場合のデータの差異検出が可能かを検証した。正常と損傷のそれぞれの時系列データを、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」(注1)の1つである「RAPID機械学習」(注2)で分析した。その結果、1,500あるデータセットを20分程で学習し、1データセットあたり0.4秒以内で、正常と損傷のデータを高精度で判別できることを確認した。

 今後両社は、実証実験の結果をもとに、故障予兆における環境変動への耐性や、損傷の種別・程度の判定について検証を進めていくとともに、プラスチック製品へのAIによる画像検品の適用や、成形条件の自動調整実現も視野に入れ、NECのAI・IoT技術を活用した、成形工程全体の機能向上を目指していく。

(注1)NEC the WISE(エヌイーシー ザ ワイズ)は、NECの最先端AI技術群の名。”The WISE”には「賢者たち」という意味があり、複雑化・高度化する社会課題に対し、人とAIが協調しながら高度な叡智で解決していくという想いを込めている。

(注2)ディープラーニング技術を搭載し、事前に手本となるデータを読み込むことで傾向を自動で学習するため、データの分類/検知/推薦などの高精度な判断が可能。また、NEC北米研究所の独自技術により、分析エンジンの高速化と軽量化の両立を実現。これにより、大規模なマシンリソースを必要とせずにサーバ1台から分析処理ができるため、幅広い業務や企業への適用が可能。

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