NEDO・大林組・川崎重工、市街地で水素による熱電供給システム実証試験を開始

■世界初、市街地で水素による熱電供給システムの実証試験、神戸ポートアイランドに実証プラント完成

 川崎重工業㈱大林組は12月11日、世界で初めて市街地で水素による熱と電気を近隣の公共施設に供給するシステムの実証試験を開始すると発表した。これはNEDO事業で、両社は12月10日に実証プラントを神戸ポートアイランド地域に完成させ、今後、システムの安定性や運用性について実証する。今後、各設備や機器の試運転を進め、来年1月下旬からの実証運転に取り組み、同年2月上旬より近隣施設への熱と電気の試験供給を開始する計画。

 実証試験では、水素を燃料とする1MW級ガスタービン発電設備(水素コジェネレーションシステム)から発生させた熱や電気を、病院などの近隣4施設に供給し、地域コミュニティ内でのエネルギー最適制御システムの運用を検証する。

 水素は、ガスタービンによる発電や燃料電池自動車などさまざまな用途で利用が可能で、エネルギーとして利用する際にCO2を排出しません。NEDOは、水素の利活用を進めるために、本格的なサプライチェーンの構築やエネルギー供給システムの確立に必要な技術開発を実施している。

 今回のNEDO事業において、助成先実施者の㈱大林組と川崎重工業は、世界で初めて、市街地で水素を燃料とした熱と電気を近隣施設に供給するシステムの実証試験を開始する。

 両社は12月10日に、1MW級水素ガスタービン発電設備「水素コジェネレーションシステム(水素CGS)の実証プラントを、神戸ポートアイランド地域に完成させた。開発した水素CGSは、水素だけを燃料とすること(専焼)も、水素と天然ガスを任意の割合で混ぜ合わせたものを燃料とすること(混焼)も可能。実証試験を通じて、燃焼安定性や運用性を確認する。

 また、実証試験では、水素CGSから発生した熱(蒸気)や電気を近隣4施設(ポートアイランドスポーツセンター、神戸国際展示場、下水処理場、中央市民病院)に供給することを通じて、地域コミュニティ内でのエネルギーの最適制御システムの運用性を確認する。

 燃料となる「水素」と「天然ガス」、コミュニティで利用する「熱」と「電気」、これらを総合管理し、経済性や環境性の観点から最適制御するために開発した統合型エネルギーマネジメントシステム(統合型EMS)を検証する。

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