㈱IHIおよび㈱IHI物流産業システム(本社:東京都江東区)は12月7日、物流設備において、パレットに積まれたケース(段ボール)の荷卸し作業を自動で行うデパレタイズシステムにAI(深層学習)を搭載して認識能力を大幅に向上した世界初の「IHIデパレタイズシステム」を開発、国内販売を開始したと発表した。
物流作業の中でも荷卸し(デパレタイズ)作業は、腰痛など労働災害につながる重労働のため作業者の定着率が悪く、作業者の確保がさらに困難になることが見込まれる中で、ロボット導入による無人化・省人化が急務となっている。しかし、従来のデパレタイズロボットは事前の画像データの登録および、荷姿・積み付け方法などの情報が必要であり、ロボット導入の障害となっていた。さらに、これらの全情報が揃っていてもパレット上に様々なケースが混載されている場合は従来システムでの対応は困難だった。
そこでIHIは、AIおよび3次元ビジョンを活用したデパレタイズロボットシステム(Kinema Pick)を開発したKinema Systems社(米国シリコンバレーのベンチャー企業)と共同でAIによる物体認識技術を活用し、事前の画像データの登録やティーチングが不要なデパレタイズシステムの開発に成功、販売を開始した。
今回販売開始した同システム「IHIデパレタイズシステム」(IHI AI Auto Depalletizing System、以下「AADS」)は、物流ニーズの変化に対応する柔軟な運用を可能にし、処理能力30%向上を実現している。
IHIは、同システムの他にも「IHIシャトル&サーバ」(立体高速仕分装置)、「IHIロボスタック」(立体自動倉庫)などのケース用物流機器を取り揃えており、AADSと組合せることにより物流作業の無人化・省人化をトータルで推進していく。また、今後もグループが保有する様々なノウハウに基づく制御技術およびロボティクス技術により、物流システムやものづくりの高度化に取り組んでいく。
<Kinema Systems社の概要>
所在地:3551-S Haven Ave., Menlo Park, CA94025
代表者:Sachin Chitta
事業内容:ディープラーニングと3Dビジョンに基づく物流および製造向けロボットソリューション