■同国のエネルギーミックスの調整と電力不足解消に貢献
豊田通商と㈱ユーラスエナジーホールディングスは12月4日、エジプト・アラブ共和国(エジプト)において262.5MWの風力発電所の建設・所有・運営事業を受注、完工後20年間にわたり発電所を運営し、電力を販売するIPP(インディペンデント・パワー・プロデューサー)事業に出資参画すると発表した。建設期間は約2年で、2017年末に工事を着工し、2019年12月の商業運転開始を予定している。なお、同プロジェクトは同国において風力発電では初めてのIPP事業となる。
■背景
エジプトの電力需要は今後安定的に伸び続ける事が予想されている。その旺盛な電力需要に対応すべく、発電所の新設や拡張などが進められている。また、火力発電に偏重していた電源構成にバランスを持たせるため、再生可能エネルギーの導入が推進されており、エジプト政府は2022年までに総発電量の20%を再生可能エネルギーで賄うという目標を掲げている。
■事業の概要
同事業は、豊田通商およびユーラスエナジーのほか、独立系発電事業者である仏Engie S.A.(エンジー)および建設会社である埃Orascom Construction SAE(オラスコム・コンストラクション)の4社により事業会社「Ras Ghareb Wind Energy SAE(ラス・ガレブ・ウインド・エナジー)」を設立し、事業を推進していく。総事業費は約400百万米ドルで、借入の約60%は国際協力銀行(JBIC)からの融資となる。残りの約40%は、三井住友銀行、ソシエテ・ジェネラル銀行東京支店から融資される予定で、日本貿易保険(NEXI)による海外事業資金貸付保険が付保される。
発電所建設予定地は、年間を通じて風況の良いスエズ湾沿いのGulf of El Zayt(ガルフ・エル・ゼイト地区)で、風況や立地の特徴を生かし発電の最適化を図り、クリーンで低価格な同国の再生可能エネルギーの導入・普及に貢献する。
■エジプトでの取り組み
豊田通商は、1922年にエジプト綿花貿易を開始して以来、90年以上にわたり様々なビジネスを展開してきた。電力ビジネスにおいては、1990年代より発電所や変電所建設プロジェクトに参画し、電力の安定供給に貢献している。同事業は、豊田通商およびユーラスエナジーとして初めてのエジプトでの風力発電事業となる。