国際協力銀行(JBIC)、モザンビーク・マラウィのナカラ鉄道・港湾事業にプロジェクトファイナンス

■過去最大のアフリカ向け融資案件

 国際協力銀行(JBIC)は11月28日、「海外展開支援融資ファシリティ」の一環として、27日、三井物産及びVale S.A.が出資するモザンビーク法人2社及びマラウィ法人2社との間で、総額1,030百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンスによる貸付契約を締結したと発表した。(1ドルは約111円)

 融資は、アフリカ開発銀行(AfDB)及び民間金融機関(三井住友銀行、みずほ銀行、スタンダード・チャータード銀行、日本生命保険相互会社、三菱東京UFJ銀行、三井住友信託銀行等)との国際協調融資によるもので、協調融資総額は2,730百万米ドル。民間金融機関の融資に対しては、日本貿易保険(NEXI)及び南アフリカ貿易保険(ECIC)による保険が付保される。

 プロジェクトは、モザンビークのモアティーズ炭田から産出される石炭を運搬・輸出するために必要な鉄道・港湾インフラを建設するものであり、プロジェクトを通じて、同炭田からの日本向け石炭輸出が増加することが見込まれている。

 我が国は鉄鋼生産に必要な原料炭を全量海外からの輸入に依存しており、その約半分はオーストラリア連邦を供給源としている。近年自然災害により豪州からの供給が不安定化していることや、一部の大手石炭企業による炭鉱の寡占化が進んでいることから、新たな供給ソースより長期安定的に良質の原料炭を確保し、調達先を多角化することが課題となっている。モアティーズ炭田から産出される原料炭は高品質であり、鉄鋼原料として適しているところ、プロジェクトは日本の長期的な鉱物資源の安定確保に貢献するもの。

 第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)において、アフリカの経済多角化・産業化を通じた経済構造改革の促進が重要なテーマとして取り上げられ、日本政府は官民協力の上、アフリカ地域への質の高い支援を実施する方針。JBICは2013年6月に創設した「JBICアフリカ貿易投資促進ファシリティ」(通称「FAITH」)を発展・強化する形で、FAITH2を創設しており、本件はFAITH2のもとでの初の資源関連インフラへの支援案件であり、JBICとして過去最大のアフリカ向け融資案件となる。

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