■公共施設における省エネルギー機器の改修工事等を通じ、省エネルギー推進に貢献
国際協力機構(JICA)は11月24日、23日にキングストンでジャマイカ政府との間で、「エネルギー管理及び効率化事業」を対象として1.500万米ドル(約16億6,500万円)を限度とする借款貸付契約(Loan Agreement: L/A)に調印したと発表した。同事業は、同国政府の要望を受け、JICAとして初のドル建て借款として実施する。(1ドルは約111円)
同事業は、同国首都キングストンを中心に国内全域の公共施設における省エネルギー技術・機器導入工事、キングストン市内の運輸セクターにおける交通管制システム確立に係る支援を実施し、官民双方の省エネルギーの促進を図り、気候変動の影響緩和及び脆弱性の克服に寄与することを目的としている。貸付資金は公共施設の省エネルギー化に関連する空調、ボイラー、LED照明、太陽光パネル等の調達及び導入のための改修工事、首都の幹線道路における交通管制システム確立に係る光ファイバーケーブル、信号、カメラ、センサー等の調達及びコンサルティング・サービス等に充当される。
ジャマイカはエネルギー源の90%以上を海外から輸入した化石燃料に依存しており、国家の財政悪化の一因となっている。そのため、省エネルギー推進により化石燃料輸入を削減することが課題であり、 同国政府は、2009年より国家開発計画の開発目標の一つとして「エネルギー安全保障と省エネルギー」を掲げている。
目標達成の具体的な方策として、特に公共部門、運輸交通部門におけるエネルギーや燃料消費が多くなっていることを踏まえ、これらの主要なエネルギー消費部門における省エネルギーの推進を行っていく方針。
公共部門は、同国の総電力消費の13%を占め、消費量増加率も他部門より高いことから、公共施設の省エネルギー化は喫緊の課題。また、運輸交通部門については、特に首都キングストンにおいて、非効率な交通管制システムにより車両の平均通行速度が制限され、燃料消費量が多くなっているが、同システムを改善することで、約40%の燃料消費削減が見込まれている。
ジャマイカ向けの借款は1996年以来約20年ぶりの供与となる。JICAは2012年3月に米州開発銀行(IDB)と、中米・カリブ地域に対する再生可能エネルギーおよび省エネルギー分野向け協調融資(COREスキーム)の実施枠組みに合意しており、同事業は同枠組みに基づき、IDBとの協調融資により実施するもの。