三菱商事は11月20日、フィリピン国運輸省(Department of Transportation)より、マニラLRT*1号線向け鉄道車両の受注内示を獲得したと発表した。契約予定額は約300億円となり、日本政府とフィリピン政府の間で締結された円借款契約により手当てされる。供給する車両はスペイン最大手の鉄道車両メーカーであるConstrucciones y Auxiliar de Ferrocarriles, S.A.(CAF社)が日本製の機器類を採用して製造するもので、車両120両(30編成)を納入する。納入時期は2020年末から2022年始めを予定している。
LRT 1号線はマニラ首都圏を南北に走る約20kmの高架鉄道で、沿線の開発に伴う利用客の増加を受け、既存路線の南方にあるカビテ州方面に約12kmの延伸工事が進められている。三菱商事が納入する車両は、同線の輸送力の増強を目的とした車両運行数の増加に対応するもので、マニラ首都圏で深刻化する交通渋滞の緩和や、それが招く大気汚染の緩和に寄与することが期待されている。
車両を製造するCAF社は、ヨーロッパ有数の鉄道車両メーカーとして欧州のみならず北中南米・アジア・大洋州等の世界各地で車両を供給した実績があり、三菱商事とは長年にわたり良好なパートナーシップを築いてきました。近年ではトルコ・イスタンブール地下鉄向けの車両供給やオーストラリア・キャンベラ市交通システム建設事業等で協業している。
フィリピンでは、マニラ首都圏の深刻な交通渋滞の解消、及びマニラ以外の地方の活性化を目指しインフラの整備が求められている。鉄道事業では、路線の延伸や新線の建設が複数計画されている。三菱商事は、今後も同国のインフラプロジェクトへの参画を通じて、社会価値、環境価値、経済価値の同時実現を目指し、同国の持続可能な経済発展に貢献していく。
*LRT:Light Rail Transitの略で、主に都市内で運行される近代型の軽量軌道交通。