三井物産、パキスタンにおける浮体式LNG受入基地事業に参画

 三井物産は11月14日、13日にBW Gas Limited(以下BW社)との間で、パキスタン向けFSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)の長期傭船事業に関わる事業権の49%相当を取得する関連諸契約を締結したと発表した。今後、正式に出資金の払込みを行い、買収完了となる見込み。同事業は三井物産にとって初のFSRU事業であり、またパキスタンにおけるLNG受入基地に関して本邦企業が参画する初めての案件。

 同事業は、パキスタン政府が輸入するLNGの再気化サービスを同国政府系公社に提供する現地企業のPGP Consortium Ltd.(以下PGPC社)に対するFSRUの長期傭船事業。パキスタンでは、国産天然ガスの減衰化が進む一方でガス需要増加が見込まれる。このため2015年からLNG輸入を開始したが、旺盛なガス需要により2022年には年間2,000万トン相当のLNG輸入が必要と見込まれ、同事業は同国の重要なエネルギーインフラの一端を担うことになる。

 BW社の親会社であるBW Groupは、ノルウェー・シンガポールを基点とし、LNG船・FSRU、LPG船、タンカー、FPSO等、150隻超の支配船腹を有する海運大手の一社で、業界トップレベルの船舶管理能力を誇る。同事業は、同社にとって順調に商業稼働中のエジプトFSRU案件に続く2号案件となる。

 三井物産は、ガス田開発、LNG製造、LNG輸送、LNG受入基地、ガス配送、ガス火力発電、ガス化学など、ガスバリューチェーンにおける関連事業を世界各地で展開している。今年5月に発表した中期経営計画でも、ガスバリューチェーンを中核分野と位置付けている。

 今後も、新興国におけるLNG輸入計画及び需要増加を背景に、納期・価格共に競争力に優れグローバルなLNG市場でニーズが一層高まっているFSRUに注目し、関連事業で蓄積した知見と総合力を活かして同事業の価値向上に努める。

 また、更なる多様化が見込まれるLNG物流への対応力を高め、アジア、中南米、アフリカ等新興国を中心としたガスバリューチェーンにおけるインフラ需要の更なる獲得を目指し、ガス関連事業の拡大を図っていく。

<事業概要>

事業主体:BW FSRU II Pte. Ltd.

出資者:BW社 51%、三井物産 49%

事業実施地:パキスタン カラチ港

FSRU:BW Integrity号

総事業費:310百万ドル(約340億円)

LNG受入能力:約560万トン/年

操業開始:2017年11月末から12月上旬の予定

事業期間:15年間

 ニュースリリース