IHIが11月1日に発表した2018年第2四半期(4~9月)連結業績によると、受注高は前年同期比11.7%増の7,151億円、売上高は同11.8%増の7,734億円となった。営業利益は、北米で遂行中のプロセスプラント案件で工程遅延等により採算が悪化したが、前年同期にあったF-LNGやボイラにおける採算悪化が解消したことなどにより、226億円増益の346億円、経常利益は、為替差損益が好転したものの、契約納期遅延に係る費用を計上したことや、民間航空エンジンにおいて契約調整負担金を計上したことなどにより、増益幅が縮小し、144億円増益の195億円、親会社株主に帰属する四半期純損益は、121億円増益の68億円となった。
なお、連結会計年度において、一部の海外連結子会社の決算日を12月31日から3月31日に変更しており、該当する連結子会社の会計期間が9か月となっている。この影響により、売上高で579億円、営業利益で14億円(前年度では、売上高で252億円、営業利益で27億円)がそれぞれ増加している。
■2018年3月期の見通し
北米で遂行中のプロセスプラント案件の採算性の悪化や民間向け航空エンジン事業に係る契約調整負担金を当第2四半期の連結決算へ織り込んだが、一方で資源・エネルギー・環境を除く各報告セグメントで増益が見込まれるため、通期の連結業績予想については、前回発表予想(8月8日)を据え置いた。
業績見通しの前提として、第3四半期以降の為替水準については、105円/USドル、120円/ユーロとしている。
また、一部の海外連結子会社について、決算日を12月31日から3月31日に変更するため、業績予想における当該連結子会社の業績は、平成29年1月1日から平成30年3月31日までの15か月間の予想数値となっている。
<資源・エネルギー・環境>
(主要事業:ボイラ、原動機プラント、陸舶用原動機、舶用大型原動機、プロセスプラント、原子力、環境対応システム、医薬プラント)
受注は、プロセスプラントや原子力で減少したものの、ボイラで増加。売上高は、報告期間統一の影響のほか、プロセスプラントにおいて大型プロジェクトが進捗したことや、ボイラや原子力、陸舶用原動機で増収。営業利益は、北米で遂行中のプロセスプラント案件で追加コストの計上があったものの、ボイラでの採算悪化の解消や上記の増収により、赤字幅が縮小した。通期見通しは、売上高・営業利益は、プロセスプラントの一部工事の工程見直しや採算悪化などにより、減収・減益となる見込み。
<社会基盤・海洋>
(主要事業:橋梁・水門、シールドシステム、交通システム、コンクリート建材、都市開発、F-LNG)
受注高は、シールドシステムなどで減少。売上は、シールドシステムで統合の効果や工事進捗に伴う増収があったものの、橋梁・水門の減収などにより、前年同期と横ばい。営業利益は、前年同期に計上したF-LNGの赤字が解消したことなどにより、営業黒字となった。通期見通しは、受注・売上は変更ないが、営業利益は各事業での採算改善により、増益となる見込み。
<産業システム・汎用機械>
(主要事業:物流・産業システム、運搬機械、パーキング、熱・表面処理、車両過給機、回転機械、農機・小型原動機)
受注は、建機の事業譲渡による影響はあったものの、車両過給機や熱・表面処理で増加。売上は、報告期間統一の影響に加えて、車両過給機の中国向け販売台数が増加したことなどにより、増収。営業利益は、上記の増収はあったものの、回転機械の採算悪化などにより、ほぼ横ばい。通期見通しは、受注・売上は変更ないが、営業利益は、車両過給機における販売増加や採算改善により、増益となる見込み。
<航空・宇宙・防衛>
(主要事業:航空エンジン、ロケットシステム・宇宙利用、防衛機器システム)
受注は、航空エンジンやロケットシステム・宇宙利用で増加。売上は、民間向け航空エンジンやロケットシステム・宇宙利用で増収。営業利益は、民間向け航空エンジンのスペアパーツの増加や為替の好転はあったものの、新型のPW1100Gエンジンの販売増加の影響や販管費の増加などにより、減益。通期見通しは、受注高は、民間向け航空エンジンなどで増加する見通し。売上高・営業利益は、民間向け航空エンジンで、スペアパーツの増加及び為替の好転の反映により、増収・増益となる見込み。