東レ、中国で紙おむつ素材の高機能ポリプロピレン長繊維不織布事業を拡大

 東レは11月6日、中国・華南の広東省佛山市に新たに事業用地を取得し、高機能ポリプロピレン長繊維不織布(PPスパンボンド)事業を開始すると発表した。11月に新会社「東麗高新聚化(佛山)有限公司」(Toray Polytech (Foshan) Co., Ltd.、略称「TPF」)を設立し、年産20,000トンのPPスパンボンド生産設備を新設する計画。稼働開始は2019年度中を予定している。中国におけるPPスパンボンドの生産拠点の設置は、東麗高新聚化(南通)有限公司(江蘇省南通市、略称「TPN」)に続いて2拠点目となる。

 中国では、国民所得増による生活様式の高度化や、一人っ子政策の廃止を受けた新生児の増加などを背景として、乳・幼児用を中心に紙おむつ需要の拡大が続いている。主要衛生用品メーカーは中国国内で紙おむつ生産設備の新・増設を積極的に進めており、主要素材であるPPスパンボンドの需要も急拡大している。特に、国内のPPスパンボンド需要の約6割を占める華南地区では需要が急増しており、PPスパンボンドメーカーに対しては同地域における供給力強化への要請が高まっている。

 東レグループは従来、高機能PPスパンボンドを、中国国内の顧客には主にTPNから供給してきたが、今回、需要拡大の著しい華南地区に新たに生産拠点を設置することで、顧客のニーズに応じたタイムリーかつ安定的な供給と、両拠点が連携したきめ細かな対応が可能となる。

 アジアにおけるPPスパンボンド需要は年率9%で伸長しており、2025年には年間140万トン規模にまで拡大すると予想されている。東レグループは、PPスパンボンドの旺盛な需要に対応するため、韓国、中国、インドネシアの各拠点で継続的に生産能力の増強に取り組んでおり、アジアにおけるPPスパンボンドの主要サプライヤーとして強固な供給体制を構築してきた今回のTPFの新設により、紙おむつの最大消費地である中国の需要を確実に取り込むとともに、強力な生産基盤と品質優位性を背景としたPPスパンボンドのグローバルな事業拡大を加速していく。

 東レは、中期経営課題”プロジェクト AP-G 2019″において、繊維事業の重要課題として「不織布事業の拡大」を掲げている。引き続き、PPスパンボンドを中心としたグローバル供給体制の拡充と商品の高度化に向けた開発を推進することで、不織布事業のさらなる拡大を目指す。

<新会社の概要>

名称:東麗高新聚化(佛山)有限公司(Toray Polytech (Foshan) Co., Ltd.、略称「TPF」)

設立:2017年11月(予定)

所在地:中国広東省佛山市南海区九江鎮

資本金:420百万元(68.7億円)

出資比率:東レ株式会社 70%、東麗(中国)投資有限公司 30%

代表者:李 泳官(東レ専任理事 在韓国東レ代表 TAK・TCK会長)

事業内容:PPスパンボンドの生産・販売

 ニュースリリース