■出力49万kWのジェラン(Zeran)天然ガス焚きGTCCコージェネ施設
三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は10月30日、ポーランドの首都ワルシャワ近郊に位置するジェラン(Zeran)で10月25日(現地時間)、同国の国有石油・ガス会社PGNiG(Polskie Gornictwo Naftowe i Gazownictwo)の子会社であるPGNiG Termika S.A.(Termika:テルミカ)向けに受注した天然ガス焚きガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備の建設工事に着手したと発表した。総発電出力は49万kWで、2020年の運転開始を予定しており、MHPSが同国内で初めて手掛けるガス火力発電設備。
同日現地の建設現場では、着工を記念してポーランド政府関係者など多数の来賓を迎え、式典が開催された。場所は、PGNiGが100%出資するコージェネレーション(熱電併給)事業会社のテルミカが運営するジェランCHP(Combined Heat and Power)プラントの敷地内で、完成後は同国内最先端のGTCCコージェネ施設として、49万kWの電力とともに32.6万kWに相当する熱も、ワルシャワ市民に地域暖房用として廉価に供給していく。
このGTCC発電設備は、M701 F形ガスタービン1基、蒸気タービン1基、排熱回収ボイラー、電気計装設備、その他の機器で構成される。MHPSはこのうちガスタービンを高砂工場で、発電機を日立工場で製作、併せて関連機器も供給する。MHPSの欧州拠点法人が蒸気タービン、排熱回収ボイラー、電気計装設備など付帯設備などを供給するとともに、プロジェクト全体の取りまとめを行い、長期保守契約に基づき、遠隔監視や技師の派遣を含めた発電設備の保守・管理を支援する。その他プラント周辺機器の調達と土建・据付工事などを、コンソーシアムパートナーである現地建設業者Polimex Mostostal S.A.が手掛ける。
MHPSの藤谷康男副社長(兼欧州拠点法人会長)は同日の式典で「MHPSは世界中のお客様に対して、高効率で信頼性の高い火力発電設備を提供している。今回のジェラン・プロジェクトにおいても計画通り工事を完遂し、ポーランドの電力需要に貢献できるよう努力していきます」と述べている。
GTCC発電は、ガスタービンでの発電に加え、その高温排ガスを利用して蒸気タービンでも発電ができ、化石燃料を使う発電の中で最もクリーンかつ高効率な方式。今回のGTCCコージェネ施設が実現する高効率で最新鋭のガス焚き技術は、IED(注1)1やBAT(注2)等、欧州の厳しい環境保護基準をクリアする。
MHPSは、今年5月に開設した新ポーランド事務所も活用し、石炭をガス化してコンバインドサイクル方式により発電する最先端の高効率発電技術であるIGCC(Integrated coal Gasification Combined Cycle:石炭ガス化複合発電)や天然ガス焚きGTCC、超々臨界石炭火力、先進的AQCS(Air Quality Control Systems:大気環境対策システム)を提案・提供することにより、同国でのエネルギー資源の有効利用と環境負荷の低減に貢献していく。
(注1)IED:Industrial Emission Directiveの略で、産業排出指令。
(注2)BAT:Best Available Technologyの略で、利用可能な最善の手法を示しています。