JICA、イラク向け円借款契約、基盤整備・行財政改革を支援

 国際協力機構(JICA)は10月27日、26日にバグダッドでイラク共和国政府との間で、2事業、総額572億2,000万円を限度とする円借款貸付契約(Loan Agreement: L/A)に調印したと発表した。

 イラクは、原油埋蔵量世界第5位、天然ガス埋蔵量第12位と天然資源に恵まれており、石油・ガスセクターが歳入の93%、輸出の98%を占め、同セクターに大きく依存する経済構造になっている。こうした中、財政面では、近年の油価下落に伴う原油収入の減少、武装勢力の活動による治安維持費の増加などを受けて、2013~2016年に財政赤字となったほか、2014~2016年の間に公的債務残高が32%から64%に増加するなど行財政改革が喫緊の課題となっている。

 加えて、1980年代以降の度重なる戦争や経済制裁などにより、インフラ施設の老朽化が深刻。特にあらゆる経済・社会活動の基盤である電力は慢性的な供給不足の状態であり、社会安定回復と経済復興の大きな障害となっている。

 こうした状況を踏まえ、イラク政府は、インフラ整備面では国家開発計画(2013~2017年)において社会基盤の基礎である電力供給システムの強化と電力需要に見合う供給を目標とし、また「2014-18行動計画:各省の戦略的優先事項」にて政策面で行財政改革を進めることを掲げている。

 今回調印した円借款契約が対象とする事業は以下の2件。

(1)電力セクター復興事業(フェーズ3)(借款金額:272億2,000万円)

(2)財政改革開発政策借款(II)(借款金額:300億円)

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