コマツ、4~9月売上46%増の1兆1,589億円、通期2兆3,280億円に修正

■ジョイ・グローバルの新規連結効果に加え、建機需要が世界的に回復

 コマツが10月27日に発表した2018年3月期第2四半期(4~9月)連結業績によると、売上高は1 兆1,589 億円(前年同期比45.6%増)となった。建設機械・車両部門では、中国やインドネシアをはじめ多くの地域で需要を着実に取り込んだことに加え、今年4月に買収を完了した米国の大手鉱山機械メーカーであるジョイ・グローバル社(新社名「コマツマイニング㈱」)の新規連結の効果もあり、売上げは前年同期を大幅に上回った。産業機械他部門では、ワイヤーソーの販売減少などがあったものの、自動車業界向けの鍛圧機械および工作機械の販売が増加したことから、売上げは前年同期並みとなった。

 コマツ2017年度第2四半期総括データ

 利益面は、ジョイ・グローバル社の買収に係る一時費用が発生したものの、各地で売上げが増加したことにより、営業利益は1,126 億円(前年同期比75.6%増)となった。売上高営業利益率は前年同期を1.6 ポイント上回る9.7%。税引前四半期純利益は、投資有価証券の売却益もあり1,441 億円(前年同期比148.1%増)、株主に帰属する四半期純利益は1,017 億円(同171.2%増)となった。

 上期は、中国やインドネシアなど戦略市場での一般建機や鉱山機械の売上げが想定を上回ったことや、為替が想定より円安に推移したことに加え、投資有価証券の売却益もあり、業績は当初予想を上回った。

 下期も複数の地域で建設・鉱山機械の需要が堅調に推移するものと見られ、当初予想を上回る業績が想定される。また、業績予想の前提となる為替レートの見直し(下期平均の為替レートを1 ユーロ=123 円、1 人民元=15.5 円に変更)により、4 月27 日に公表した2018 年3 月期通期連結業績予想(2017 年4 月1 日~2018 年3 月31 日)について、売上高および利益を修正した。

 2018年3月期の売上高は2兆3,280億円(前回予想2兆1,350億円)、営業利益2,160億円(同1,560億円)、税引前当期純利益2,370億円(同1,410億円)、親会社株主に帰属する当期純利益1,590億円(同920億円)となる見通し。

 通期平均の為替レートは、1 米ドル=108.0 円、1ユーロ=124.4 円、1 人民元=16.0 円とした。(前回見通し1 米ドル=105 円、1ユーロ=115 円、1人民元=15.0 円)

■部門別の概況

【建設機械・車両】

 建設機械・車両部門の売上高は1 兆644 億円(前年同期比52.4%増)、セグメント利益は1,037 億円(前年同期比80.1%増)となった。

 オフロード法2014 年基準(米国ではTier4Final)に適合する中型油圧ショベル「PC200-11」ならびに中型ICT 油圧ショベル「PC200i-11」を発売した。窒素酸化物等の排出を大幅に低減しながら生産性と燃費性能の両方で高いレベルを達成するなど、環境・安全・ICT に磨きをかけた最新機種を市場に導入し、販売拡大に努めている。

 2015 年2 月にスタートした建設現場向けソリューション事業「スマートコンストラクション」を着実に推進し、これまでに3,800 を超える現場に導入した。同事業については、建設生産プロセス全体を一元管理して最適化するためのオープンな新プラットフォーム「LANDLOG(ランドログ)」の構築を目指し、今年10 月にNTT ドコモ、SAP ジャパン、オプティムと共同で㈱ランドログを設立した。今後は同社を中核に、多くのソリューションパートナーの同プラットフォームへの参加を促進し、建設現場に最適なサービスの提供を加速させていく。

■地域別の概況

<日本> 主にレンタル業界向けを中心に、新排出ガス規制実施前の需要増により、売上げは前年同期を上回った。

<米州> 米国では、インフラおよびエネルギー関連向けを中心に、また、カナダにおいても一般ユーザー向けを中心に需要が堅調だった。中南米は、アルゼンチンやメキシコを中心に一般建機の需要が増した。さらに、コマツマイニング㈱の新規連結の効果もあり、米州での売上げは前年同期を大幅に上回った。

<欧州・CIS> 欧州では、主要市場であるドイツを中心に需要が堅調であり、売上げは前年同期を上回った。CIS では、石炭や金鉱山を中心に鉱山向け需要が引き続き好調であり、売上げは前年同期を大幅に上回った。

<中国> 全国的にインフラ工事が進行し、一般建機の需要が引き続き伸長したことから、売上げは前年同期を大幅に上回った。

<アジア・オセアニア> アジアでは、石炭価格の上昇に伴い、最大市場であるインドネシアで鉱山機械の需要が増加したことから、売上げは前年同期を大幅に上回った。オセアニアでは、鉱山機械の需要が増加したことなどに加え、コマツマイニング㈱の新規連結の効果もあり、売上げは前年同期を大幅に上回った。

<中近東・アフリカ> 中近東では、原油安を受けた各国政府の緊縮財政の影響はあるものの、一部地域での需要が回復傾向にあることなどにより、売上げは前年同期を上回った。アフリカでは、南アフリカでの鉱山向け需要が増加したことなどに加え、コマツマイニング㈱の新規連結の効果もあり、売上げは前年同期を大幅に上回った。

【リテールファイナンス】

 リテールファイナンス部門では、チリでの売上げの増加や北米での資産の増加などに伴い、売上高は312億円(前年同期比33.1%増)となった。セグメント利益は、中国での引当金計上の影響がなくなったことなどに伴い、59 億円(前年同期比40.2%増)となった。

【産業機械他】

 産業機械他部門では、ワイヤーソーの販売が減少したものの、自動車業界向けの鍛圧機械および工作機械の販売が増加したことなどにより、売上高は791 億円(前年同期比0.2%増)となった。セグメント利益は48 億円(前年同期比19.2%増)となった。

 ギガフォトン㈱では、拡大する同社の事業規模に合わせ、今年6 月に新社屋を完成させた。また、㈱KELK では、同社が持つ高い熱電変換技術を応用し、無線温度センサーである熱電EH デバイスなど、これまで以上に様々な場面・環境で利用可能となる熱電発電応用製品の製造・販売を今年6 月より開始した。

 コマツは、2019 年3 月期をゴールとする3 カ年の中期経営計画「Together We Innovate GEMBA Worldwide-Growth Toward Our 100th Anniversary (2021) and Beyond-」を掲げ、①イノベーションによる成長戦略、②既存事業の成長戦略、③土台強化のための構造改革、を重点項目として活動している。

 ニュースリリース

    コマツ2017年第2四半期決算説明資料(2017年10月27日)