プライメタルズテクノロジーズ、インドのスターワイヤー社よりビレット/ブルーム兼用連続鋳造機を受注

 プライメタルズテクノロジーズ(Primetals Technologies)は10月26日、インドの鉄鋼メーカーであるスターワイヤー社(Star Wire Ltd.)から、インド北部のハリヤナ州バラブガー(ニューデリー市南郊)の鉄鋼工場向けとして、ビレット/ブルーム兼用の連続鋳造機を受注したと発表した。

 この連鋳機は、鋼種によって3万トンから6万トンの年産能力を持ち、既存のインゴット鋳造ラインを補完する設備として、鋳造製品の品質向上とともに、溶鋼から圧延用半製品までの歩留向上をもくろんだもの。鋳造工程を完全に自動化した同連鋳機は、インドでダイナミック軽圧下システムを条鋼製品に初めて装備し、世界的に流通する各種の鋼種に対応する初のビレット/ブルーム兼用機として、2018年後半に稼働開始の予定。

 新設される連鋳機は、湾曲半径12メートル、凝固完了長20メートルで、145mm角と195mm角のビレットを生産し、将来的には最大断面積として350mmx350mmまでのビレット/ブルームの生産にも対応可能な設計となっている。生産対象鋼種としては、オーステナイト系とマルテンサイト系の耐熱鋼、工具・金型用鋼、フェライト系、マルテンサイト系およびオーステナイト系のステンレス鋼、特殊鋼などの鋳造に対応している。

 プライメタルズテクノロジーズは、基本及び詳細プロセスエンジニアリングをはじめとして、装置構造、油圧システム、自動トーチ切断機などのサブシステム、各種機器を含む鋳造プロセス設備一式、さらに鋳込み用の特殊断面鋳型「DiaMold」、モールドオシレーター「DynaFlex(*1)」、自動モールドレベル制御機構「LevCon(*2)」、ソフトリダクションシステム「DynaGap(*3)」、二次冷却モデル「Dynacs」などを含むプロセスオートメーション(レベル2)の技術パッケージ、ストッパーロッド機構、ローラーユニット、引抜・歪み矯正ユニット(WSU)、電磁撹拌器などの供給も担当する。

 スターワイヤー社(Star Wire(India)Ltd.)は、ニューデリーに近いバラブガーを拠点として特殊鋼を生産する電気炉ミニミル工場。現在は、インゴットを原料としてエレクロトロスラグ再溶解(ESR)工程で生産を行っているが、製品として特殊鋼圧延製品や型押し製品、鋳造製品、鍛造品質インゴットと幅広く展開している。同社では、国内及び海外の自動車、航空宇宙、発電、エンジニアリングなどの分野向けに合金鋼を生産しており、また主に電力分野向けとして、タービン用鋳造品など最大80トンの合金鋼やステンレス鋼を生産する鋳造工場も運営している。

 同プロジェクトは、プライメタルズテクノロジーズオーストリア(Primetals Technologies Austria GmbH)とプライメタルズテクノロジーズ(Primetals Technologies)のグループ企業であるコンキャスト・インディア(Concast(India)Ltd.)との共同で進められている。

*1 DynaFlex:鋳型を微妙に振動させることにより、連続鋳造中に移動する鋳片と鋳型との間に生じる摩擦を軽減し、半製品であるビレット等の表面品質を向上させる発振器。

*2 LevCon:鋳込み時の湯面レベルを最適化する制御システムで、モジュラー設計により湯面計測装置、流量調節機構、アクチュエータが選択可能となっている。

*3 DynaGap Soft Reduction 3D:ダイナミック冷却モデルの目標計算値を基に、鋳片の最終凝固領域にある鋳造ロールの上下位置を制御する軽圧下システム。

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