■油圧ショベルの世界需要は前回予想を9,000台上回る19万4,000台に修正
日立建機が10月25日に発表した2018年3月期第2四半期(4~9月)連結業績によると、前年度に実施した日立住友重機械建機クレーンの持分法適用会社化による影響があるものの、特に中国をはじめとする建設機械の販売増加と、H-E Parts社及びBradken社の連結子会社化による売上収益増加により、売上収益は4,402億7,600万円(前年同期比31.5%増)となった。
調整後営業利益は売上原価率・販売管理費率の低減、部品サービスの増加とソリューションビジネスの貢献により376億1,400万円(同524.2%増)、営業利益は392億9,100万円(同799.7%増)、親会社株主に帰属する四半期利益は255億4,500万円(前年同期は22億6,500万円)となった。
また、2018年3月期連結業績予想(2017年4月~2018年3月)については、油圧ショベルをはじめとする建設機械需要が、中近東・アフリカを除く多くの地域で当初の想定を上回る見込みであり、販売も当初計画を上回る見込みであることから、7月27日に公表値を上方修正した。主力製品の油圧ショベルの今年度需要は、第1四半期発表時の18万5,000台から9,000台増の19万4,000台と想定を変更した。
2018年3月期連結業績は、売上高8,900億円(前回予想8,100億円)、調整後営業利益570億円(同460億円)、営業利益550億円1(同440億円)、税引前当期利益510億円(同370億円)、親会社株主に帰属する当期利益300億円(同180億円)となる見通し。
第3四半期以降の業績予想の前提為替レートについては、第1四半期発表時点の公表値である米ドル105円、ユーロ110円、人民元15円を据え置いて作成している。
<建設機械ビジネス>
4~9月期における油圧ショベル需要は、低迷が続く中近東とアフリカを除き各地域で前年同期を上回った。日立建機では、顧客の機械を総合的にサポートするサービスソリューション「ConSite(コンサイト)」のグローバル展開や、部品供給体制の拡充等により、部品・サービス事業の強化を図り、更なる収益の拡大に努めた。日本では、国土交通省が推進するi-Constructionへの対応として、茨城県ひたちなか市に開設したICTデモサイトでの講習会や、施工プロセスの効率化につながるソリューションの提供等、ICT施工の普及に努めている。
マイニング機械需要は、マイニング会社の投資増加を受け、前年同期を上回っている。日立建機では、日立グループの力を合せて高度な車体安定化制御を実現したリジッドダンプトラックAC-シリーズの拡販に努めるとともに、鉱山機械の運行管理システムの提供や自律運転技術の開発等、鉱山運営の効率化に取り組んでいる。また、より高度なレベルの顧客サポート体制の構築を進め、部品・サービスの売上収益拡大に努めている。
4~9月期の売上収益は3,937億6,700万円(前年同期比17.6%増)、調整後営業利益は344億2,000万円(同471.2%増)となった。
<ソリューションビジネス>
同事業は、前年度に連結子会社化した、主としてマイニング設備及び機械の部品サービス事業を行うBradken社とサービスソリューションを提供するH-E Parts社で構成されている。
4~9月期の売上収益は、オーストラリアや南米でマイニング機械向けの売上収益が堅調に推移し466億500万円、調整後営業利益は31億9,400万円となった。
なお、この調整後営業利益は、H-E Parts社のPPA(取得資産の再評価)実施による償却額11億21,00万円を控除した後の数値。
日立建機グループは、2017年度からの中期経営計画「CONNECT TOGETHER 2019」に掲げる経営施策を推進している。顧客の事業課題である「安全性向上」「生産性向上」「ライフサイクルコスト低減」に繋がるICT・IoTを活用した解決策を「Solution Linkage」として開発・提供を推進している。また、前年度に連結子会社化したH-E Parts社、Bradken社のマイニング設備や機械の部品・サービス事業強化の取り組みなど、新車販売以外での収益拡大を図るべくバリューチェーンの深化を推進すると共に、グローバルなサポート体制の確立とシェア向上、コスト低減を進めるなど、体質強化と経営の効率化に取り組んでいる。
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