大成建設とアクティオ、重機旋回規制システムを開発、バックホウの旋回による接触防止に効果を発揮

 大成建設㈱アクティオは10月25日、バックホウの接触事故を防止するため旋回を規制するシステムを開発したと発表した。

 都市部の狭小で作業範囲が制限されるような建設現場では、重機を用いた作業に対して十分な配慮を行わなければならないが、バックホウの旋回により、アームやバケットの先端部分が周辺の構造物に接触したり、道路規制域からはみ出してしまう危険性がある。

 このため、一般的にはレーザセンサ等を用いて、先端部分が規制エリアに侵入した場合に警報を出すシステムが使用されている。しかし、現状のシステムでは、警報を出すだけで危険な状況を把握して自動的にバックホウの旋回を停止させることはできず、機械の操縦者による停止操作が必要だった。

 そこで、両社は、現地を確認しながら、旋回規制の範囲をバックホウに取り付けたモニターにワンクリックで指定し、アームやバケットなどが作業区域からはみ出さないよう、第一減速帯となる準備ゾーンで自動的に旋回行動をスローダウンさせ、第二減速帯である警戒ゾーン内で停止させる、接触防止に有効なシステムを開発した。 

<システムの特長>

(1)従来システムのような警報だけ発信する方式ではなく、確実にバックホウの旋回を停止させ、重要構造物、車両、架線、配管などとの接触や損傷を事前に防止する。

(2)汎用重機のどの機種にも容易に取り付け、接触防止を図ることができる。

(3)規制範囲の設定は簡便で、初めてのオペレーターであっても15分程度で使いこなせる様に設定されている。

(4)旋回停止動作は、規制エリアに近づくと油圧量を操作して徐々に止まる機構で、オペレーターへの注意喚起に効果的で、また急に止めることによるバックホウ本体の転倒を防止できる。

(5)ガス管工事や水道工事など全ての建設工事で利用できる技術。

 同システムは、2017年春から開発を進めており、現在、東京都水道局発注の開削配管工事に同システムを導入し、周辺環境に配慮した安全な施工を展開中。

 今後、大成建設は、更に重機に搭載したGPSコンパスの方位情報とCAD施工図に基づき、旋回規制範囲の角度を算出して制御を行うとともに、バックホウ本体やアーム等の位置情報をリアルタイムに画面上に表示する機能の開発を行い、より安全な施工の実現に向け、既存構造物に近接した状況での工事に積極的に導入するなど、広く本技術の普及、展開を進めていく。

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