NEDO、カタールで高温排海水を用いた海水淡水化実証事業を開始

■省エネ・低環境負荷型の造水システム確立を目指す

 NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は10月20日、カタール電力・水公社と共同で、高温排海水を用いた海水淡水化実証事業を実施することに合意し、19日に開催された日・カタール合同経済委員会の機会に基本協定書(MOU)を締結したと発表した。

 この実証事業では、省エネ・低環境負荷型の造水システムの適用性を実証する。カタール北部に位置するのラスラファン工業都市から排出される高温の設備冷却海水を原水として利用し、独自の低コスト型の逆浸透膜法(RO膜法)により淡水化する。

 現在、ラスラファン工業都市では、1カ所の共通取水設備から海水を取水し、各プラントに配水して設備の冷却用水として利用している。この冷却に活用された海水は最高45℃程度で共通放水路により海に放出されているが、この最高45℃程度の排海水を水資源としてRO膜法による海水淡水化の原水に用い、省エネ・低環境負荷型の海水淡水化システムとして実証する。得られた淡水については、飲料水基準への適合を検証する予定。

 今後、カタール電力・水公社との連携のもと実証設備の建設・運転を行い、現地での商用化に必要なデータの取得および周辺国への普及展開を含めたビジネスモデルについて検討を進める。

 カタールをはじめとするペルシャ湾岸地域では、工場プラント設備冷却水として海水を利用するケースが多数あり、同地域において今後も増加し続ける水需要に対し、高温排海水を利用した海水淡水化技術を広く普及することが期待される。

 ニュースリリース