日本貿易保険(NEXI)、バングラデシュのマタバリ超々臨界圧石炭火力発電所・港湾建設案件を支援

■住友商事、IHIの受注部分に一般保険を引受を決定

 日本貿易保険(NEXI)10月18日、バングラデシュにおいて日本企業によるコンソーシアムがCoal Power Generation Co. Bangladesh Ltd.から受注したマタバリ超々臨界圧石炭火力発電所・港湾建設案件について、住友商事及び㈱IHIの受注部分に対する貿易一般保険の引受を決定したと発表した。

 プロジェクトは、石炭火力発電所建設と、日本の鹿島港をモデルとした深海港建設の複合プロジェクトで、バングラデシュ南東部マタバリ島に建設を予定している。輸入石炭を燃料とする高効率の超々臨界圧石炭火力発電を採用し、発電容量は1,200MW(600MW×2基)で、バングラデシュにおける総発電容量の約1割を担う見込み。日本が誇る高効率の石炭火力発電設備であり、蒸気を超高温・超高圧化することで発電効率を高め、燃料の使用量とCO2排出量の抑制が可能となり、環境負荷の低減に貢献する。また、発電所の隣接地に建設されるバングラデシュ初の深海港は、マタバリ地区後背地の開発及び発展につなげる計画。

 事業の資金は独立行政法人国際協力機構(JICA)による円借款によって賄われ、総事業費は円借款として過去最大規模の約5,000億。また、NEXIにとっても同一案件に対する保険引受規模が過去最大となる。

 住友商事は発電所の土木工事と補機供給及び海洋土木工事と港湾建設を担い、東芝プラントシステムと五洋建設を起用する。IHIはボイラの供給と据付を担当する。発電所及び港湾の建設工事は2017年8月に着工し、2024年7月の完工を予定している。

 同事業は日本の技術・ノウハウを結集したもので、日本政府の推進する「質の高いインフラパートナーシップ」に資する案件。日本の資金及び技術を活用してバングラデシュの逼迫する電力需要に応えるとともに、同国の産業振興及び経済発展に貢献する。

 バングラデシュは、経済成長に伴い電力不足が課題となっており、電力需要は2030年には現在の9,000MWから35,000MWにまで伸長するとも言われている。総発電容量の約65%は自国産の天然ガスによる火力発電が占めているが、政府は燃料の安定調達の観点からLNGや輸入炭を中心とした電源開発を推進している。また沿岸部が遠浅であり、大型船で運搬した貨物を小型船に移し替えて既存の港へ輸送しているため、深海港建設事業はマタバリ周辺地区の産業発展の中核を担う事業として期待されている。

<参 考>

被保険者 住友商事株式会社、株式会社IHI

保険責任期間 7年

てん補範囲・付保率 非常危険97.5%、信用危険90%

 ニュースリリース