三井造船、大型舶用ディーゼルエンジンが今治造船の石炭運搬船向けに採用決定

 三井造船は10月16日、今治造船が建造する石炭運搬船向けに大型舶用ディーゼルエンジンの採用が決定したと発表した。同エンジンには、NOx三次規制に対応するために三井造船が開発した低硫黄燃料対応型の排気再循環システム(High-pressure Exhaust Gas Recirculation:以下、高圧EGR)が搭載される。

 国際海運の世界では、IMO(国際海事機関)による環境規制が順次強化されており、船舶からの排出されるNOx(窒素酸化物)は2016年からの三次規制で、特定海域で一次規制値比80%減となる3.4g/kWh以下を満たす必要がある。

 これまで三井造船は、玉野事業所機械工場内に設置したテスト用ディーゼルエンジンを用いた陸上での試験、および、就航船での試験を行い、実機ベースでNOx低減技術をはじめ各種環境規制対応技術開発を進めてきた。昨年12月には国内で初めてこの高圧EGRを採用することが決定しており、今回で2度目の採用が決定している。

 今回採用された三井造船の高圧EGRは、エンジンからの排ガスの一部を掃気管へ再循環させ、燃焼温度を下げることによりNOx生成を低減するシステム。EGRの主要機器をエンジンに一体装備(ビルトイン)することによりコンパクトな機器構成となり、各種NOx規制対応技術の中では、機関室設計への影響が少ないシステ。

 今治造船が建造し、四国電力向けに㈱商船三井が運航する14万重量トン型石炭運搬船1隻に三井-MAN B&W 7G60ME-C9-EGRBPが搭載される予定。

 三井造船は、船舶用大型低速ディーゼルエンジンの国内トップメーカーとして、NOx規制だけではなく、SOx規制やCO2削減技術(省エネ技術)の技術開発も進めている。その一環として燃料の多様化への対応を進めており、既に製造実績のあるME-GI(メタンと重油)、ME-GI-Ethane(エタンと重油)、ME-LGI(メタノールやLPG他と重油)も含めた各種製品ラインアップを揃え、今後も環境に優しく経済性にも優れた推進システムを顧客に提供していく。

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