日立金属は10月3日、材料特性が注目され需要が急拡大している、ナノ結晶軟磁性材料「ファインメット(R)」を増産するため、メトグラス安来工場(島根県安来市)と、Hitachi Metals (Thailand), Ltd.(アユタヤ)で製造ラインの増強を実施し、2018 年度末までに生産能力を2017年度比で3倍に増やし、工程改善により製品個々の品質向上も追求すると発表した。
近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車などxEV、鉄道、再生エネルギー用の電源系回路の小型・軽量化に対応したパワー半導体の高機能化(駆動周波数の高周波化)が加速し、高周波領域で特性を発揮する軟磁性材料のニーズが高まっている。
日立金属の特殊鋼事業は、自動車関連分野において、グローバル市場でのさらなる成長をめざしている。この中でも特に、xEV を中心とした環境性能に優れたエコカー関連製品を成長ドライバーと位置付け、重点施策としてグローバル拡販に取り組んでいる。
近年、xEV、鉄道、再生エネルギー用の電源系回路の小型・軽量化のため、Si(ケイ素) を用いたIGBT(※2)の高性能化や、SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)などの次世代半導体の登場により、従来にも増して高周波での駆動が要求されるようになった。
しかし、この高周波領域では、電磁鋼板を使用した変圧器やリアクトルでは鉄損(※3)が大きく、これに起因する温度上昇を抑制するために、小型化が難しくなる課題がある。また、小型・省スペース化と同時に、従来製品では抑えられない高周波領域でのノイズが発生している。
これら背景により、xEV 関連を主とする新用途の需要急拡大に伴い、変圧器、リアクトル、ノイズフィルター用チョークなどの用途では、高い透磁率と磁束密度の両側面を合わせ持つファインメット(R)の材料特性が注目されている。
※1 電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)の総称。
※2 絶縁ゲートバイポーラトランジスタ。電力抑制用半導体素子の一つで大容量電力変換器の主変換素子に使用されている。
※3 鉄心に交流磁界を印加した時に生じるエネルギーの損失。
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