横河電機、IIoTアーキテクチャーを活用したポンプ遠隔監視サービスの概念実証を開始

 横河電機は9月28日、現在開発中のIndustrial IoT(IIoT)アーキテクチャを活用したポンプ遠隔監視サービスの企画・開発を進めているが、このほど㈱イワキと連携して概念実証(Proof of Concept : PoC)を開始し、同サービスの市場価値の検証と実際のサービスメニューの検討を行うことを決定したと発表した。

 横河電機とイワキがPoCを行うのは、化学プラントの化学薬液の移送や食品プラントの液体輸送などで活用されているイワキ製のマグネットポンプ(※1)の稼働状況を遠隔監視できるサービス。同サービスではイワキの「ポンププロテクターDRN」で収集した、ポンプの電流値、ポンプ運転時に変化する吐出圧力・流量、移送液温度などのデータやタンクの渇水の情報を、横河電機が開発中のIIoTアーキテクチャのクラウド基盤上で収集し、現場の設備管理者は設備の付近のみならずプラントの敷地外からでもデータにアクセスできるようになる。

 ポンプ設備の稼働状況を遠隔から監視できるため、本社の関係者とも連携しながら予防保全業務を行い、より総合的に判断し対策を講じることや、同サービスをポンプメーカーが自社のメンテナンスサービスに応用することが可能。複数のポンプの稼働状況を遠隔監視できることに加え、警報値を設定することで、ポンプの異常時にはメールなどで設備担当者やメンテナンス担当者に通知することができ、迅速な対応が可能になる。

 今回、プラント内で薬液などを送るケミカルポンプの国内トップメーカーの一つであるイワキと協業することで、同社の豊富な経験やノウハウを活用し、同サービスの市場価値の検証を早急に進めていく。

 横河電機が開発中のIIoTアーキテクチャは、センサーからLPWAN(Low Power Wide Area Network)などの無線通信やアナログ/デジタル通信インターフェースを通じてIoTゲートウェイにデータを収容し、ゲートウェイから携帯電話回線網や固定回線網を介してクラウドにアクセスする。利用者側での煩雑な設定がなくセンサーや機器をクラウドに接続でき、データに容易にアクセスできる仕組みを目指している。ユーザーは、プラグ・アンド・プレイ(※2)による機器の自動登録からデータ転送、リモート制御、アラーム通知などを一貫して利用できる。今回PoCを行うサービスは、「ポンププロテクターDRN」を介して、イワキ製以外のポンプにも適用可能となる予定。今後、PoCを通じて同サービスの市場価値の検証とサブスクリプションモデル(※3)でのサービスメニューの検討を進め、早期のサービス提供を目指す。

 なお、横河電機は本サービスを10月3日からスペインのバルセロナで開催される「IoT Solutions World Congress 2017」と、10月11日から韓国のソウルで開催される「IoT Korea Exhibition 2017」に参考展示し、デモンストレーションを行う。

  ※1 マグネットポンプ(渦巻きポンプ):モータの回転力をマグネット駆動(液洩れのないシールレス構造)で羽根車に伝えることにより、その遠心力を利用して送液するポンプ。接液部にテフロンやシリコンカーバイド等を採用し、耐薬品性に優れている

 ※2 プラグ・アンド・プレイ:センサー等の機器を指定のネットワークに接続した際に、自動的に機器の検出と適切な設定が行われ、すぐに使用できること

 ※3 サブスクリプションモデル:利用した期間に応じて利用料を支払う方法

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