■長寿命スラスト針状ころ軸受の開発完了
㈱ジェイテクトは9月28日、従来よりも3.5倍もの長寿命化を実現した「長寿命スラスト針状ころ軸受」を開発したと発表した。グループ会社の宇都宮機器で製造、国内外の自動車メーカー、変速機メーカー向けに販売、2020年には年産144万個を計画している。
スラスト針状ころ軸受は、コンパクトで比較的高荷重かつ高回転に使用できることから、自動車のトランスミッションやコンプレッサー等に良く使われ、動力損失の低減に貢献する。開発品により、更なる車両の軽量化や燃費向上に貢献するとともに、既に量産中の製品の長寿命化にも対応する。
<特 長>
スラスト針状ころ軸受は軸受部品の構成上、ころ軌道の内外周で周速差が発生し、「差動すべり」が発生する。そのため、主にレース表面起点のはく離が発生しやすくなるという課題がある。
(1)そこで「レース表面起点のはく離」に対して、ショットピーニング工程(無数の粒子を衝突させることによって、金属材料を強くする技術)を追加することで、レース表面の高硬度化や残留圧縮応力を付与することで、はく離寿命を向上させている。
(2)一方、レースの強化で「レースはく離」に対する寿命が向上したため、「ころはく離」が発生することが予想されるため、ころについても特殊熱処理による強化を実施している。
⇒従来品比で3.5倍以上のはく離耐力向上を実現した。
<効 果>
(1)車両の軽量化や燃費向上に貢献:軸受の長寿命化により、従来レベルの寿命を維持したまま、よりコンパクトな設計が可能となっている。これにより、車両の軽量化や燃費向上に貢献する。
(2)量産流動中の製品の長寿命化も可能:従来加工工程に長寿命処理の追加対応が可能なため、量産流動中である軸受のサイズを変えずに長寿命化対応が可能。また、入力トルクが大きくなった場合でも、既存品のレベルアップにて対応可能。潤滑油の流れなどを変えずに対応可能なことから、ユニット開発の変化点を減らせ、顧客のリスクを低減できる。
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