日本精密、カンボジア新工場が竣工、10月から操業開始

 日本精密は9月22日、2016年9 月からカンボジア工場内で建設を進めていた新工場棟が竣工、10月から操業を開始すると発表した。これは2016年4月、「新規国内時計製造会社との長期安定製品供給に関する合意書の締結」の発表によるもので、時計メーカー向けに腕時計バンドを製造するもの。今年度中に設備投資資金(生産準備金)が時計メーカーから日本精密に支払われる予定。

 日本精密は創業以来、腕時計関連の部品製造を中心に精密部品加工業として業務拡大してきた。1994年3月にベトナム工場を設立し、日本企業で最も早くASEANへ進出した先駆者といわれる。また、時計関連部品製造の中心地であった中国は、人件費の高騰、労働者・熟練工の不足、オーナー高齢化と後継者難による生産設備の老朽化などの構造的な問題で、部品メーカーの廃業、撤退が進んでおり、ASEAN地域で一貫生産体制と安定的な部品供給体制を構築している日本精密は、この点でも高く評価されているという。

 新規国内時計製造会社との長期安定製品供給契約を結んだことがカンボジアでの新工場建設に至った。日本精密は、同社向け時計部品の供給を行うことを10 年間保証する。新規国内時計製造会社からは、生産準備金が日本精密に支払われ、それをもって日本精密は現在のカンボジア工場の敷地内に新工場を建設、同社への安定的な部品供給体制を構築することにした。

 現在の中国では長期的な安定供給先を確保することが難しく、時計関連部品の調達を中国に依存することは将来的に販売機会の損失を生じさせかねない恐れがある。そうした中、長期に渡る安定的な部品供給を保証する合意書は、今後の同社製品の安定的な製造・販売に貢献できるとともに、日本精密の業容拡大にも繋がるものと考えている。

 なお、生産準備金については、2018年3月期中に予定している新工場の第1回目の出荷後にも受領する予定。

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