㈱JCUは9月22日、中国の湖北省仙桃市に技術サポート機能を備えた表面処理薬品の工場を新設すると発表した。2018年3月に着工、2019年10月に製造を始める予定で、総投資額は 1 億 8,000 万元(約30億円)。中国でJCU初の工場となる。グループ売上高の約 30%を占める中国市場で技術サービス体制を強化するのが狙い。生産予定量は 2019 年 500 トン、2021年 2,900 トン、2025年 4,300 トンを見込み、2025 年には中国での自動車・電子向け総 販売量予定 9400トンのうち 46%を新工場から供給する計画。中国市場における表面処理薬品はこれまで委託生産によって対応してきたが、これにより供給リスクを回避する。評価試験などを中国内で行えるようになり、顧客サポート力を一層強化する。
新設する中国工場は武漢から車で1 時間半ほどの湖北省仙桃市高新技術産業開発区新材料産業園に立地し、2017年10月に現地法人「JCU表面技術(湖北)有限公司」を設立する。工場は2階建てで、敷地面積 5 万 6,695 m²、床面積 2 万 3,000 m²。従業員は 19 年 15 人、21 年 25 人、25 年以降 29 人を計画。JCUの現地生産工場は韓国、タイ、ベトナム、メキシコに次いで5 カ国目となる。
中国市場における自動車部品向け、スマートフォンのプリント配線板向け表面処理薬品の販売は好調 に推移している。自動車については、エンドユーザーである日系自動車メーカーの現地生産・販売が好調で、今後も販売数量増を期待している。一方、スマートフォンについては、ハイエンドスマート フォンの需要が一巡する中で、中国系スマートフォンはインド、アフリカなどへ市場を拡大していくと予測している。こうした中で、顧客の要求に迅速に応えるための体制整備が課題であり、工場新設を決めた。グループ売上高に占める中国の比率は、3 年後に 35~40%に高まると予測している。
中国で新設する工場と合わせて、既存の委託生産先も併用し、リスク分散を図りながら供給していく。また、顧客の評価試験はこれまで日本の総合研究所に送って試験することが多く、中国工場で評価試験を行うことにより顧客サポートを大幅に迅速化する。これらにより競争力を高め、スマート フォン向けは既存の台湾基板メーカーに加え、中国のローカル基板メーカーへもシェアを拡大していく 計画。
JCUは今年 8 月、約 4 億 5,000 万円を投じて台湾の桃園市に新社屋を建設し、台北市と桃園市に分 かれていた現地法人を統合した。今後も日本国内のみならず、海外市場における迅速でキメ細かな顧客サポート体制を構築していく。
<設立する子会社の概要>
商号:JCU表面処理技術(湖北)有限公司
所在地:中華人民共和国湖北省仙桃市
代表者:小澤 恵二
事業内容:表面処理薬品の製造、販売およびめっき試験加工および分析等技術サービスの提供
資本金:180,000千人民元
設立:2017年10月(予定)
持分比率:JCU100%