■回転振動試験を成功させ、全開発プロセスを完了
三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は9月15日、原子力発電所向け蒸気タービンに採用する世界最長級となる74インチ(1,880mm)最終段動翼の回転振動試験に成功し、すべての開発プロセスを完了したと発表した。これにより、MHPS製で従来最長の54インチ(1,375mm)最終段動翼に加え、蒸気タービンのラインアップを拡充できたことから、今後はより多様な顧客ニーズに対応していく。
74インチ動翼は、MHPSが他社に先駆けて開発を開始し、これまでに蒸気実負荷試験を含む各種検証試験を終了しており、今回、最後の確認試験項目である回転振動試験を完了させた。
回転振動試験は、実物大の試験ローターに74インチ動翼を組み込み、それを実際の運転回転数で回転させることにより、翼の振動特性を確認する試験です。MHPSが保有する世界最大級の高速バランス試験設備を用いて試験を行い、74インチ動翼が計画通りの振動特性を備えており、かつ安全に運転できることが確認できた。
74インチ動翼を採用した蒸気タービンは、現在世界で主流の電気出力120万kW級原子力発電所に加え、150万kW以上の大容量原子力発電所にも適用できる。74インチタービンを120万kW級原子力発電所に適用する場合、54インチタービンと比べて翼長が増大するため、より多くの電気を生み出せる。また発電所の立地環境によっては、タービン車室数を3車室から2車室に減らすことができるため、よりコンパクトな発電設備の設計が可能となる。
MHPSは今後も、安全・安心で高品質な原子力発電所向けの蒸気タービンを提供することにより、グローバル規模におけるさらなるエネルギーの安定供給、経済発展、ならびに環境負荷の低減に貢献していく。