㈱神戸製鋼所は9月12日、加古川製鉄所において、競争力強化を目的に約90億円を投資して建設を進めてきた2基目の脱りん炉が8月より稼働を開始したと発表した。2基目の脱りん炉の稼働開始により、神戸製鋼が注力する自動車向けの超ハイテン、特殊鋼線材など一般的な鋼材と比較して高い品質が要求される高級鋼を、より効率的に製造することが可能となり、年間20億円強のコストダウンに繋がる。
溶銑処理は、高い清浄度が要求される高品質な鋼材を製造するために欠かせない工程。これまでは1基目の脱りん炉と混銑車で脱りん処理をしていた。今回の2基目の脱りん炉稼働により、溶銑の全量脱りん処理が可能となり、そのほとんどを脱りん炉で処理する。
※脱りん炉による処理率向上により、処理時間の大幅な短縮と効率化が可能となり、鉄鋼事業の収益力強化に寄与する。
神戸製鋼は、鉄鋼事業部門の競争力強化を目的に、2017年11月より神戸製鉄所の上工程(高炉~連続鋳造)を加古川製鉄所に集約する。(総投資額:約655億円、効果額:約150億円/年)
集約に先駆けて、加古川製鉄所へ約300億円を投資して、溶銑処理工場(脱硫設備2基と脱りん炉1基)を建設し、2014年4月から運転を開始している。2基目の脱りん炉は、追加の収益改善投資として溶銑処理工場内に建設され、稼働開始により計画していた上工程関連の新規の設備投資が全て完了した。
加古川製鉄所では、来る上工程集約に向けて、神戸製鉄所から生産移管される製品の品質確認及びアプルーバル取得作業の大詰めを迎えている。神戸製鋼は引き続き、2016~2020年度グループ中期経営計画で掲げた施策の一つである鉄鋼事業の収益力強化を実行していくことで、素材・機械・電力の3本柱の事業体確立を目指す「KOBELCO VISION “G+”」への取り組みを着実に推進していく。
※2基目の稼働とスイッチで1基目は定期修理のため休止し、上工程を集約する11月より2基稼働体制となる計画。