ヤマハ発動機、産業用ロボット(表面実装機)技術を応用し、メディカル分野へのソリューションを提供

 ヤマハ発動機は9月1日、新薬開発(創薬)や抗がん剤の効果を検査する際など、薬効を評価する試験工程の一部を担う細胞(塊)※のピッキング&イメージングシステム「CELL HANDLERTM(セルハンドラー)」を開発、第1号機を8月31日に公立大学法人 福島県立医科大学へ納入したと発表した。

 「CELL HANDLER TM」は、手動では困難だった速度と精度で目的の細胞(塊)を選択、高密度培養プレートへ、一つずつ移動するとともに撮像、画像情報を取得・データ化する。

 ヤマハ発動機表面実装機(サーフェスマウンター)の超高速・高精度なピック&プレース技術を応用し、より微細で壊れやすい細胞(塊)に合わせて新開発した吸引吐出技術や撮像・画像処理技術を搭載している。あわせて専用のディスポーザブル(使い捨て可能)なチップと容器も独自に開発した。

 この取り組みは、2016年からの3ヵ年における新中期経営計画の「成長戦略の加速・強化」の一環で、今後はハードの提供に合わせて関連サービスの充実を図り、新薬の研究開発や個別化医療などに貢献していく。

 現在、「iPS細胞」をはじめ、「創薬」や「再生医療」など、細胞を活用したビジネスが活況を呈している。また、がんに罹患する人は年々増え続け、どの抗がん剤がどのようながん細胞に効果を発揮するのかを調べる「抗がん剤感受性検査」や「バイオマーカー試験」に莫大な時間とコスト、人員がかけられており、さらなる品質や作業効率の改善が求められている。

 ヤマハ発動機では産業用ロボット技術のさらなる活用を視野に2010年からメディカル分野への検討に着手した。従来、表面実装機で扱ってきた電子部品に比べて不均一な形状で、柔らかく壊れやすい細胞(塊)に適した吸引吐出技術や画像処理技術の開発にチャレンジし、その過程において、カリフォルニア大学サンフランシスコ校や大阪国際がんセンターなどと共同研究を行ってきた。

 「CELL HANDLERTM」の登場により、細胞(塊)を用いた試験の一部を自動化することで、薬効の高い治療薬の開発がより速く低コストで行えるようになり、ひいては医療費の抑制にも貢献する。

 ニュースリリース