日立造船、ギリシャ初の乾式バイオガスプラント用メタン発酵槽を受注

 日立造船の100%子会社 Hitachi Zosen Inova AG(スイス、CEO:Franz-Josef Mengede 、 以下HZI)は8月30日、ギリシャ初となる乾式バイオガスプラント用に、独自のコンポガス技術を利用したメタン発酵槽2基を受注したと発表した。HZIは発酵槽に加え、本プラントのメンテナンス契約を合わせて受注している。

 ギリシャのアルタ県・テスプロティア県・イオアニナ県・プレベザ県から構成されるイピロス地方広域連合は、都市ごみ処理施設の建設および25年間の運営事業をPPP(Public Private Partnership)方式により、ギリシャの大手電力会社Terna Energyに委託した。処理施設は、都市ごみの資源化・減容化による埋立負荷削減を目的としており、年間約10万5,000トンの一般廃棄物を選別処理する。一般廃棄物から選別された3万8,700トンの有機性廃棄物は、バイオガスプラントにおいてメタン発酵処理され、年間540万Nm3のバイオガスを生成する。

 バイオガスプラントの建設にあたりTerna Energyが設立した特別目的会社(SPC)であるAeirforiki of Epirusから、今回HZIはバイオガスプラントに設置するメタン発酵槽を受注した。

 メタン発酵により生成されたバイオガスを利用して、年間1万1,500MWhの電力(一般家庭約3,000世帯分の年間使用電力量に相当)がイピロス地方に供給される計画。また、これまでの埋立処理からメタン発酵処理へ移行することにより、年間1万2,000トンのCO2排出量削減に寄与する。一方、メタン発酵後の残渣は、鉱山や採石場の埋戻しに利用される。

<概 要>

発注者:Aeirforiki of Epirus(Terna Energyの子会社)

施設規模:有機性廃棄物 38,700トン/年 

生産能力:バイオガス 540万Nm3/年

建設地:ギリシャ イピロス地方

納期:2019年1月

■Hitachi Zosen Inovaについて

 HZIは、日立造船の100%子会社でごみ焼却発電プラント(以下、EfWプラント)の設計、建設、保守などを手がけるEfW事業においてトップシェアを有している。近年は、英国、アイルランド、ポーランドでのEfWプラント受注の他、コンポガス技術の資産買収、メンテナンス事業会社の買収、バイオガス精製技術等の取得、PtG事業会社の資産買収など、欧州を中心に事業を積極展開している。

■HZIのコンポガス技術「Kompogas®」について

 乾式メタン発酵の代表的な手法の1つ。生ごみなど有機性廃棄物を嫌気性状態で、約55℃の温度に保ち、微生物の働きによりバイオガスを発生させる。処理後の残渣は堆肥として農業や園芸肥料に利用される。なお、HZIの「Kompogas®」は世界30カ国以上の国々で商標登録されている。

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