■処理能力400トン/日の一般廃棄物焼却施設を長寿命化
三菱重工グループの三菱重工環境・化学エンジニアリング(MHIEC、本社:横浜市西区)は8月31日、東京都の23特別区で構成される東京二十三区清掃一部事務組合から一般廃棄物焼却施設である有明清掃工場の基幹的設備改良工事を受注したと発表した。処理能力400トン/日のストーカ式焼却炉(注1)設備を改修し、長寿命化するとともに省エネルギー化をはかるもので、同組合が基幹的設備改良工事を発注するのは有明清掃工場が初めて。受注額は32億300万円(税抜)で、完成は2020年2月を予定している。
同施設は、三菱重工業の設計施工により1995年12月に完成したもの。処理能力200トン/日のストーカ炉2基および関連設備で構成され、5,600kWの発電能力を備えている。
今回受注した焼却施設改良工事では、経年的に劣化した焼却施設の給じん設備、灰処理設備、汚水処理設備、通風設備、煙道設備、集じん設備、電気計装設備、給水設備などを対象に主要機器の更新ならびに改善を行う。また、MHIECの固有技術を多数有する排ガス処理設備についてバグフィルターの負荷(圧力損失)低減に伴う消費電力削減、各種電動機に高効率モーターやインバータを採用することにより省エネ化をはかり、CO2排出量を年間3%以上削減することで地球温暖化抑制にも貢献する。
東京二十三区清掃一部事務組合は2000年4月、東京都から廃棄物処理施設およびし尿処理施設の整備・管理運営事務を引き継ぐかたちで発足。現在都内で、建て替え中のものを含め21ヵ所の清掃工場を管理運営している。
一般廃棄物焼却施設を長寿命化するとともに、温暖化対策も施す改修・改良工事は増加傾向にある。加えて、国が2015年度に関連する交付金支援制度(注2)を創設したことで、さらに活発化している。
MHIECは、三菱重工が長年培ってきた環境装置分野の技術開発力と国内外を含めた豊富な廃棄物処理施設の建設・運営ノウハウを2008年に継承。多数の実績に基づく、建設から運営まで含めた総合的ソリューション提案力を強みとしている。
MHIECは、今回の受注とこれまでの実績をベースに、既存廃棄物処理施設の省エネ化や安定稼働の維持・向上、さらに維持管理費などを含めたL.C.C.(ライフサイクルコスト)低減に向けた提案を積極的に推進し、受注拡大をはかっていく。
(注1)耐熱金属の角材を並べた床の上で、廃棄物などの焼却対象物を突き上げることで移動させながら燃焼させる焼却炉で、一般廃棄物焼却炉の主流。
(注2)環境省が所管する廃棄物処理施設の有効利用と廃棄物分野の温暖化に向けた設備の改良事業に基づき、一般廃棄物処理施設の長寿命化と温暖化対策を推進する市町村に対して、二酸化炭素排出抑制対策事業費交付金(先進的設備導入推進事業)として事業費の1/2もしくは1/3が交付される。