●今年度の建機出荷、9%増の2兆1165億円−建機工見通し
2017年8月29日 日刊工業
日本建設機械工業会(建機工)は28日、2017年度の建設機械出荷金額(補給部品を除く本体)が前年度比9%増の2兆1,165億円の見込みになると発表した。前年度並みとした2月の前回予測から2,375億円引き上げた。好調な海外市場に加えて、国内も排ガス規制強化に伴う駆け込み需要が建機レンタル業界で上期に高まっていることから上方修正した。
17年度の輸出が同11%増の1兆1,923億円の見通し。北米の住宅建設が進んでいるほか、インドネシアなどで鉱山機械の需要が伸びているという。また平野耕太郎会長(日立建機社長)は活性化している中国市場について、「共産党大会などの動向を慎重に見極める必要がある」と述べた。
建機工は18年度の出荷金額を同2%減の2兆781億円と併せて予測している。国内では駆け込み需要の反動減が響くとみており、同6%減の8,649億円と2年ぶりに減少する見通し。一方、輸出は北米をはじめ各地域で建機需要が見込まれるため、同2%増の1兆2,132億円と2年連続で増加する見込みだ。
●建機出荷額18年度見通し、8年連続2兆円乗せ
●建機出荷18年度減少へ 売り切り脱却へコマツは施工支援
2017/8/28 23:25 日経
昨年末から好調が続く建設機械の需要に陰りがみえてきた。日本建設機械工業会(建機工)は28日、2018年度の建機の本体出荷額が17年度比2%減と2年ぶりに減少する見通しだと発表した。輸出は引き続き堅調だが、国内の買い替え需要が一巡することが響く。コマツなど建機各社はIT(情報技術)を活用した施工支援など新たなサービスで顧客を囲い込み、需要変動に左右されにくい体制を築く。
建機工の予測では18年度の本体出荷額は前年度比2%減の2兆781億円。このうち国内は同6%減の8649億円とみる。「五輪関連や災害対策などの投資が需要を支えている」(建機工の平野耕太郎会長)。一方で、今年9月に油圧ショベルなどの排ガス規制が強化されるのを前に駆け込み需要が起きており、18年度は反動減が生じる見込みだ。
輸出は2%増の1兆2132億円で、主力の輸出先である米国で住宅やエネルギー関連の投資が膨らむ見込み。ただ、足元で堅調な中国市場には先行き不透明感も漂う。
需要の波から受ける影響を小さくするため、建機大手は建機の販売後も顧客とのつながりを保てるサービス事業を育てる方針だ。国内最大手のコマツは10月、NTTドコモなどと共同で土木建設業界向けクラウド「ランドログ」を始める。
通信機能を持つ油圧ショベルやブルドーザーでの施工履歴、作業員が持ち歩くスマートフォン(スマホ)などの情報をクラウド上に蓄積。建設現場の作業をネット上で一覧できるようにして、施工現場の効率化につながる新たなサービスを様々な業界が自由に開発・導入できるようにする。
建設現場の人手不足を背景に、建設工事の効率を高めるニーズは高まっている。ITの活用で建機の稼働率を高める、施工の精度をより精緻に管理する、などのサービスが実用化できる可能性がある。
コマツはクラウドを通じて自社インフラを使ったサービスを増やし、建機のユーザーを囲い込む戦略だ。第1弾として産業機械レンタルのオリックス・レンテック(東京・品川)とは、同クラウドを使ったドローン測量サービスを始める。
日立建機は16年以降、米鉱山機械部品サービス会社やオーストラリアの鉱山機械部品大手を相次ぎ買収。アフターサービスなどの売上高比率を16年度の35%から19年度には50%に高める方針で、建機向けのクラウドサービスも9月に始める。