■世界界初の水平スライドクレーン「Exter(エクスター)」
清水建設は8月24日、新たに構築した次世代型生産システム「Shimz Smart Site」の一翼を担う新型建機として、水平方向に伸縮するブームにより作業半径を自由に調整できる世界初の水平スライドクレーン「Exter」を開発、このほど1・2号機が完成したと発表した。
仕様は、定格(最大吊)荷重12t、作業半径3~25m、揚程(揚重高さ)200m。清水建設は今後、Shimz Smart Siteの全体システムの適用はもとより、Exterをはじめサイトを構成する個々のロボットや建機の水平展開を図り、建築工事現場の生産性向上に取り組む。
Shimz Smart Siteは、Exterと自律型の各種施工ロボットから構成される建築工事向けの生産システム。Exterは、水平方向に伸縮する新開発のブームを備えたタワークレーンで、建物の頂部をすっぽり覆う全天候カバー内で効率よく稼働できる仕組み。全天候カバーは、風雨や直射日光を遮る役割を果たすことから、作業環境の改善や生産性の向上に寄与する。
従来から建物を全天候カバーで覆う施工・解体工法はあったが、揚重機として採用する天井クレーンのレイアウトを建物の平面形状に合わせたり、クレーンの荷重を受ける建物の構造体を補強するのためのコストが普及のネックになっていた。
水平方向に伸縮するブームは、3体に分割されている。クレーンの根本に位置する最大外寸のブームは固定式で、その中に中間と先端のブーム2体を納める構造。ブーム延伸時には、順に先端のブームから送り出す。資材の揚重作業時には、ブームを延伸して全天候カバー側面に設けた開口部からブームを外に突き出し、地上部から資材を揚重してはブームを縮めて全天候カバーの中に資材を取り込む。全天候カバー内では、ブームを伸縮・水平旋回させて所定の位置に吊荷を下ろす。なお、ブームの水平旋回時には、ブーム先端とカバーとの位置関係をセンシングしながら、ブームとカバーの接触事故を防止する。
Exterと全天候カバーは超高層ビルの解体工事にも適用できる。最初にビルの頂部を全天候カバーで覆った後、ビルの切断解体を進め、切断した部材をExterが外部に吊り下ろす。カバーが騒音の伝搬や粉じんの飛散を防止するため、周辺環境への負荷が大幅に減少する。また、Exterは、ブーム先端の最高到達点が従来のブーム起伏式のタワークレーンに比べて20~25m低くなることから、航空制限域での工事や建物頭上をマイクロウェーブが通過する場所で行う工事への適用も期待されている。
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