伊藤忠商事は8月22日、100%出資の米国子会社であるTyr Energy, Inc.(本社:カンザス州オーバーランド・パーク、以下ティア・エナジー社)を通じて、米国ペンシルベニア州ヒッコリーラン発電所の建設を開始したと発表した。ティア・エナジー社が50%、関西電力及びSiemens Financial Services, Inc. (本社:ニュージャージー州アイセリン、以下シーメンス社)が各々30%、20%を出資する。
発電所はペンシルベニア州ピッツバーグ近郊に位置し、総出力1,000MWのガスコンバインドサイクル方式の発電所で、2020年4月の商業運転開始を予定している。高効率、且つ環境負荷が小さい電源として同地域の電力安定供給に大きく貢献すると期待されている。建設工事は実績豊富なキーウィット・パワー・コンストラクターを起用し、シーメンス製H型ガスタービン発電機2基、蒸気タービン発電機1基を採用する。
ティア・エナジー社は発電所の100%開発権益を保有、各種許認可の取得、主要機器・建設工事事業者の選定・交渉、PJM容量市場への参加、燃料供給契約や融資関連契約の締結等、一連の開発業務を進めてきた。発電所への融資は、BNP パリバ、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ、クレディ・アグリコル の3行、及び三菱東京UFJ銀行、日本政策投資銀行、三井住友銀行、ABNアムロ、National Australia Bank、新韓銀行を共同リードアレンジャーとして行われる。
また、発電所の建設を通じ、約500人相当の雇用が見込まれており、商業運転開始後には、米国最大の電力市場であるPJM市場に対し約100万世帯相当の電力を供給する。発電所の建設/資産管理・運営業務を上述ティア・エナジー社が、また運転・保守業務を同じく伊藤忠商事100%出資の米国子会社であるNAES Corporation(本社:米国・ワシントン州、以下ネイス社)が行う。
伊藤忠商事は、世界各地で発電事業の拡大に積極的に取り組んでいる。特に北米では、ティア・エナジー社を通じ、9,000MWを超える総容量を保有し、15ヶ所の発電所の運営・管理に携わっている。また、ネイス社を通じて発電所運転・保守のサービス事業も展開しており、全米を中心に全世界で150ヶ所以上、総計39,000MW以上の発電所の運転・保守を行っており、独立系としては世界最大手の規模で事業を展開している。伊藤忠商事は引き続き発電事業とサービス事業の両輪で電力事業を多角的に展開し、更なる事業価値の向上を目指す。
<米国ペンシルベニア州ガス火力発電事業の概要>
発電所名:ヒッコリーラン発電所
事業位置:米国ペンシルベニア州ローレンス郡
発電方式:ガスコンバインドサイクル発電
出力:100万kW
運転開始時期:2020年4月(予定)
合弁会社:ヒッコリーラン・エナジーホールディングス, LLC
売電先:PJM電力市場
出資社:伊藤忠グループ50%、関西電力グループ30%、シーメンスグループ20%